エンタープライズ:ニュース 2002/07/10 19:23:00 更新


オープンソースで世界のWebプラットフォームを狙うZOPE

オープンソースによるWebプラットフォームとして名前の知られるZOPEの設立者、ポール・エベレット氏が来日し、東京・秋葉原でプレス向けのブリーフィングを行った。

 オープンソースによるWebプラットフォームとして名前の知られるZOPEの設立者、ポール・エベレット氏が来日し、7月10日に東京・秋葉原でプレス向けのブリーフィングを行った。同氏は、日本ではまだ立ち上がっていないコンテンツマネジメントサーバ(CMS)市場にパートナーと組んでビジネスを展開し、現在の10倍規模のビジネスを実現したいと述べた。

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ZOPE設立者のポール・エベレット氏

 ZOPEとは、「Z Object Publishing Environment」の略で、Webアプリケーションサーバや、Webコンテンツマネジメントシステムとしての機能を提供するためのWeb開発および実行環境だ。Zopeコーポレーション、Zopeコミュニティーによって、オープンソース形式で開発されており、ソースコードは、Webサイトからだれでも入手できる。設立は古く、1996年6月から活動を開始している。

 基本的に、ZOPEはPythonが動作するプラットフォームならどこでも動くが、WindowsやLinux、FreeBSD、Solarisなどが環境としてよく使われるという。

 ポール氏は「オープンソースがビジネスで役割を果たすようになる」と話す。同氏は、CMSの次期製品である「ZOPE 3」を紹介するとともに、日本の市場を理解するなどのマーケティング活動をすることが来日の目的としている。

 同氏のよれば、Webプラットフォームを導入するコストは、ハードウェア、ソフトウェア、コンサルティングがそれぞれ3分の1ずつという。そして、オープンソースであるZOPEを使うことで、「ソフトウェアの部分はゼロにできる」という。

 CMS市場が確立されつつある米国で最も高いシェアを取っているのは、18%のビグネットのソフトウェアだという。しかし、全体の回答で最も多いのは、43%を占める「In house System」、つまり独自ソフトという。独自ソフトには、開発したプログラマーがいなくなると拡張できなくなるなどのデメリットもある。そこで、オープンソースという「武器」を使いながら、低コストという特徴を生かしているZOPEへの引き合いが多いとしている。

 テクノロジーの採用を示す山型の曲線で言えば、「ZOPEの導入はまだまだ山の麓」であり、「Linuxはようやく“標高”の高い領域をカバーするようになった」とポール氏は話している。同氏は、現在のLinuxがいる位置へと、ZOPEをシフトさせるためには、ZOPEコーポレーションだけではなく、欧州や日本に、パートナーとなる組織を確保し、大規模な顧客にも対応していきたいという。

 9月にファーストベータがリリースされるZOPE 3は、「Plone」と呼ばれるCMSを搭載する。Ploneは、デザインに優れており、市販のソフトウェアとの競争力もしっかりしているという。なお、ZOPEはあくまでも基盤であり、それ自体は製品ではないことも確認された。

 ZOPE 3では、ソースのPythonへの統合をさらに進めたため、Pythonユーザーはさらにナチュラルに利用できるという。また、ZOPE 2からの改善点としてはセキュリティモデルの強化が挙げられた。ZOPE 3では、Untrusted Code(不信なコード)はTrusted Code(信頼できるコード)に直接の問い合わせをできない仕様に変更された。

関連リンク
▼ZOPE
▼ZOPEユーザー会
▼ZOPEソースコード閲覧サイト
▼ビグネット

[怒賀新也,ITmedia]