エンタープライズ:ニュース 2002/08/07 16:46:00 更新


Keynote:「統合をコアにパートナー戦略を加速する」とチェンCEO

サイベースの年次カンファレンス「SYBASE TechWave 2002」のオープニングキーノートに登場したジョン・チェンCEOは、パートナーシップを大きく取り上げた。目に見えない製品群をパートナーの姿を介して浮かび上がらせることができれば、そのコストパフォーマンスを評価する企業からの採用が期待できそうだ。

 カリフォルニア州サンディエゴで8月6日、サイベースの年次カンファレンス「SYBASE TechWave 2002」が開幕。オープニングキーノートに登場したジョン・チェンCEOは、同社のインテグレーション技術をコアとして、ビジネスを加速させるための新戦略を明らかにした。

 サイベースは、e-ビジネスインフラストラクチャ、m-ビジネス(モーバイルビジネス)、v-ビジネス(バーチカル市場向けビジネス)の3つに注力することを経営方針としてきた。この日、チェン氏が明かした新戦略は、同社がテクノロジー、ソリューション、およびパートナーシップ/戦略地域の拡大の3つにコミットするというものだ。e-ビジネスインフラとm-ビジネスはテクノロジー、v-ビジネスをソリューションと位置付け、さらにパートナーシップが加わったことになる。

 この中で最も注目を集めた発表は、パートナーシップについて。ピープルソフトとの戦略提携と、韓国のシステムインテグレーターであるサムソンSDSが、サイベース子会社のファイナンシャル・フュージョン製バンキングシステムをローカライズおよび販売するというニュースだ。

 この発表でサイベースは、ピープルソフトを「Preferred ERP and CRM Vender」とし、データベース「Adaptive Server Enterprise」(ASE)をPeopleSoftに最適化する。また、ニュー・エラ・オブ・ネットワークス部門のEAI製品を、ピープルソフトのアプリケーションインフラとして統合していく計画だ。一方、ピープルソフトは、ASEのサポートを、現在のERPおよびSCMだけでなく、バージョン8.8よりCRMへと拡大する。

 サムソンSDSは、ファイナンシャル・フュージョンのリテイルバンキングシステムを韓国語版としてローカライズし、サポートサービスや導入も手掛ける。明日7日に、正式な調印式が行われる予定だ。

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「BSA(Business Solution Alliance)を強化する」とチェンCEO

 これまで技術力や、それに裏打ちされたコストパフォーマンスを売り物にしてきたサイベースだが、今回のTechWaveではパートナーとの協業を大きく取り上げた。チェン氏は、「コンテンツ管理ではドキュメンタムとインターウォーブン、サーチエンジンのオートノミー、ビジネスインテリジェンス(BI)のブリオ、ビジネスオブジェクツ、コグノス、インフォマティカ、そしてエンタープライズアプリケーションはピープルソフト……」とパートナー名を列挙し、彼らと強い協業関係にあることを示した。

 エンドユーザーから見えない製品を提供するサイベースにとって、パートナーシップは重要だ。企業はアプリケーションを購入する際、トータルコストを少しでも抑えようとする。そのためにアプリの値引き交渉、システムインテグレーターとの交渉、そして当然ながら、データベース価格の交渉も行う。そのときにサイベースが、他社と同様のパフォーマンスを出せる製品をより低コストで提案できれば、採用に大きく近付くことになる。

「さらに、GIS(地理情報システム)ソリューションベンダーとの提携も近く発表する予定だ」(チェン氏)

テクノロジーとソリューション

「われわれは、オープンかつスケーラブル、リライアブルなプラットフォームを提供する。そのために、最も重要な技術はインテグレーションだ」――この日のキーノートでチェン氏は、「統合」のための4つの技術として、BI、e-ビジネス、エンタープライズソリューション、アイエニウェアのモーバイルソリューションを提供していくとした。

 その4つの技術を盤石なものとして提供するために、同社は7つの新製品を加えた。新製品は、Windows CE用PowerBuilderである「PocketBuilder」やポータル開発環境「Portal Studio」など、デベロッパーや管理者向けのものが中心。チェン氏は、「サイベースのCEOとなってから、デベロッパーやDBAのコミュニティーの声に耳を傾け、開発環境をより良くしていく方法を常に考えていた」と話している。

 一方のソリューションは、バーチカル市場をターゲットしたもの。サイベースは今後、従来より強かった金融業界向けソリューションをはじめ、ヘルスケア、通信、官公庁に注力する。また、それほど強調されなかったが、教育機関、メディア、小売りにもソリューションを提供していく計画という。

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[井津元由比古,ITmedia]