| エンタープライズ：インタビュー | 2002/08/09 20:00:00 更新 |
Interview：優れた統合技術でIBMに対抗するサイベース
「SYBASE TechWave 2002」で、優れたインテグレーション技術をメッセージの中心としたサイベース。ジョン・チェンCEOとワールドワイドフィールドオペレーションの責任者、マイケル・ビールマー氏に、今後の企業戦略について聞いた。
サイベースは8月上旬、カリフォルニア州サンディエゴで開催され年次カンファレンス「SYBASE TechWave 2002」で、新戦略と幾つかの新製品を発表した。優れたインテグレーション技術をメッセージの中心とした同社だが、今回はピープルソフトとの戦略提携を発表するなど、パートナーシップも大きく取り上げている。同社のジョン・チェンCEOとワールドワイドフィールドオペレーションの責任者、マイケル・ビールマー氏に、今後の企業戦略について聞いた。
ジョン・チェンCEO
ZDNet 今回のTechWaveでピープルソフトとの戦略提携を発表されましたね。今後、ほかのアプリケーションベンダーと組んで、サイベース製品の売り上げ増を狙う戦略はありますか。
チェン まずは、アプリケーション各分野における既存パートナーと、お互いに強くコミットできるような関係を構築しようと考えています。新しいパートナーとしては、今回のピープルソフトに加えて、GIS（地理情報システム）ベンダーとの提携を近く発表します。
ビールマー さらなるマーケットシェアを獲得するために、パートナーの製品をサイベース製品と組み合わせ、サイベースの営業スタッフが販売します。当面は、ピープルソフトに的を絞り、PeopleSoftだけを販売する部門を作りました。これが成功すれば、将来、同じスキームをさまざまなパートナー製品へと拡大したいです。
ZDNet オラクルがカリフォルニア州と揉めています。オラクルのライバルが同州と契約するチャンスでもありますが、それを伝えた記事（関連記事参照）で、チェンさんは弱気なコメントを出されていましたね。サイベースは、官公庁向けソリューションにも注力するそうですが、あのコメントの真意は？
チェン われわれは、オラクルの失敗につけこんで契約を取るつもりはなく、オープンかつトランスピアレントな戦略で、バーチカル市場に入っていこうとしています。官公庁向けソリューション分野は極めて巨大なマーケットであり、重要視しています。既に、CIAやFBI、幾つかの州政府とのコンタクトもあり、プロジェクトごとに、例えばEDSなどのシステムインテグレーターと組んで契約を獲得するのが、われわれの戦略です。
マイケル・ビールマー氏
金融再編はチャンス
ZDNet IBMは、ITアウトソーシングサービスで、日本の幾つかの金融機関を顧客としています。サイベースが強い金融業界で、脅威を感じていますか。
チェン 私は、IBMのアウトソーシング戦略は成功しないと考えています。世界最大のアウトソーサーと呼ばれるEDSも、それほど成功していませんし、オラクルのBusiness Onlineは完全に失敗しました。これは、企業がミッションクリティカルな業務を外部に出したくないためです。
給与システムのアウトソースはやりやすいかもしれません。しかし、すべてがミッションクリティカル業務である金融機関にとって、アウトソーシングが適切なソリューションであるとは思えません。
IBMは、最大の競合相手です。これに対抗するために、われわれは優れたインテグレーションプラットフォームを提供します。IBMのMQSIに、サイベースが買収したニュー・エラ・オブ・ネットワークスのテクノロジーが使われているなど、企業が必要とする優れたプラットフォームを提供できるのはサイベースの方であると考えています。
ビールマー IBMもそうですし、マイクロソフトやオラクルにも言えることですが、彼らがうたう統合技術を利用するためには、すべて彼らから製品を買う必要があります。われわれの製品はオープンですから、既存のシステムインフラをより良く統合できるのです。
ZDNet 金融業界の再編により、銀行と銀行の統合だけでなく、銀行と保険会社、消費者金融との統合も実現するという見通しがあります。こうしたことが起これば、サイベースはどのようなソリューションを提供できるのでしょう。
チェン 日本は、金融機関の規制が緩和された最後の国であり、金融再編はサイベースにとって、大きなチャンスです。彼らはレガシーシステムを持っていて、それを簡単には捨てられません。その既存インフラを接続し、システム同士が話をできるようにする技術を提供することで、リアルタイムエンタープライズを可能にします。
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サイベース[井津元由比古，ITmedia]
