エンタープライズ:ニュース | 2002/08/27 23:22:00 更新 |
完成度高まるWindows .Net Server〜ストレージ管理編 [1]
今回は企業が日常的な業務を行う上で最も身近な機能の1つであるストレージについて、Windows .Net ServerにおけるWindows 2000 Serverからの改善点や、スナップショットの機能を提供する「ボリュームシャドウコピー」などの新機能について2回に渡って触れる。
マイクロソフトはWindows .Net Server RC1(Release Candidate 1)についてのプレス向けセミナーを開催した。今回は企業が日常的な業務を行う上で最も身近な機能の1つであるストレージについて、Windows .Net Server(.Net Server)におけるWindows 2000 Serverからの改善点や、いわゆるスナップショットの機能を提供する「ボリュームシャドウコピー」などの新機能について2回に渡って触れる。
まず、Windows NT Server 4.0(NT 4.0)からWindows 2000 Server(Windows 2000)におけるストレージ技術について振り返ってみる。NT4.0では、エンタープライズレベルのファイル/プリンタ、アプリケーションサーバ向けストレージとして、NTFS(NT FileSystem)が採用された。NTFSには、システムが半自動的に記録動作を行うジャーナル機構が既に搭載されていた。これは、システムに事故が発生した場合もデータを回復させることができる機能。
また、Windows 2000では、NTFS v5が採用され、さらにストレージ技術が強化された。NTFS v5では、暗号化ファイルシステム、パフォーマンスの向上、リムーバルメディアやSANへの対応といった改善が行われた。また、パーティションの中身を消去することなく、パーティション サイズを拡張できるダイナミックディスクや、マウントポイントにも対応した。
そして、今回リリースされるWindows .Net Serverでは、Windows 2000を基盤にし、新機能を盛り込みながらパフォーマンスの向上に努めているという。
.Net Serverでの新機能を並べると、「ボリュームシャドウコピー」「自動システム回復(ASR)」「ストレージの可視化の選択」「マルチパスI/O」「新ドライバモデル」「仮想ディスクサービス(VDS)」「テラバイト単位でのストレージサポート」「SANからのOS起動」などが挙がる。
この内、ストレージの管理において同社が最も強調するのは、データのバックアップに関する管理者向けの新機能であるボリュームシャドウコピーだ。
これは、ユーザーやアプリケーションが使用中のために排他制御されているファイルに対して、シャドウコピーをバックアップすることによって、データを保護するもの。これにより、バックアップに伴うサーバのダウンタイムが必要なくなる。
一般に、バックアップにおいては、バックアップの最中にアプリケーションがファイルの更新を行うとデータが損失するケースがあることや、バックアップアプリケーションには膨大な数のAPIを習得する必要があるといった課題があるという。これへの対応としては、「バックアップの最中にアプリケーションを停止させる」「オープンされているファイルについてはバックアップをスキップする」といった解決策があるが、いずれもシステムを運用する上で可用性や整合性に一貫性が保てず、あまり根本的な解決方法ではない。
それを解決するのがシャドウコピーだという。シャドウコピーの流れは、アプリケーションを一瞬停止させ、データのシャドウコピーを生成、アプリケーションを再開し、シャドウコピーを希望の場所に移動させ、移動したシャドウコピーをバックアップ、そして、シャドウコピーを対象に分析処理やレポート処理を行うという手順になる。
.Net Serverのボリュームシャドウコピーは、ファイルレベル、ボリュームレベル、アプリケーションレベルでファイルをバックアップし、復元できる。また、多くのストレージハードウェアベンダーが、ボリュームシャドウコピーベースのソリューションを開発中で、SAN(Storage Area Network)からの.Net Serverの起動を可能にしていることも特徴となっている。ボリュームシャドウコピーベースのソリューションを開発しているベンダーとして、ベリタス、コンピュータアソシエイツ、ヒューレット・パッカード、IBM、EMC、レガートシステムなどが紹介された。
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[怒賀新也,ITmedia]