エンタープライズ:コラム | 2002/08/27 22:54:00 更新 |
Linux Column:ターボリナックスは復活するか?
先週のビックニュースといえば、SRAのターボリナックス買収だ。しかし、短期的に見てターボリナックスが以前のような勢いでビジネスをするのは難しい。あえて新マーケットでのリーダーを目指すというのも冒険ではあるが面白い。
先週のビックニュースといえば、SRAのターボリナックス買収(関連記事ターボリナックスがSRAの傘下へ)だろう。ホームページを米ターボリナックスが実質的にディストリビューションベンダーとしてのビジネスを停止していただけに、その去就が気になっていたが、正直SRAが買収するとは意外であった。
傍から見ていてUnitedLinux構想などで開発の中心になるのはターボリナックスだろうなあ、などと勝手に思っていただけに、今回の買収で開発の体制や方向性がどのように変わっていくのだろうかということを考えてみた。
個人的には年初の今年の予想の中で「今年はデスクトップLinux」と予想した。実際、ほぼ予想通りサン・マイクロシステムズがLinuxデスクトップを近日中に発表するようだ。まあ、この辺りの流れはある程度だれでも予想できたところだけに、問題はそのマーケットでのプレイヤーがどうなるかだ。
ターボリナックスは昔からAplixwareのバンドルをしていたりと、デスクトップ系には力を入れていた。ここにきて利用可能性が高まってきただけに、うまくこれまでのノウハウを投入できれば、市場でもかなりのパフォーマンスを演じられるのではないだろうか。しかし親会社となったSRAは業務系のシステム、特にUNIXによるダウンサイジングがセールスポイントのシステムインテグレーターだけに、エンタープライズ系のLinuxソリューションを指向したいところだろう。
レッドハットもサーバに引き続きデスクトップ、ワークステーションに特化したディストリビューションバージョンを発表しているだけに、真っ向勝負なのか、それともソリューションツール指向なのか。予想は正直難しい。新生ターボリナックスは資本金を5000万円まで減じるとしており、プロモーションなどに多大なコストがかかり、売上高や利幅の薄いデスクトップ市場で勝負するのは難しいと見るのが素直な見方だろうか。また、それがこれまでのインストールベースのユーザーを継続的にサポートしていくという点からも好感されるだろう。
しかし、ビジネス的には新たな可能性へのチャレンジとはならない。短期的に見てターボリナックスが以前のような勢いでビジネスをするのは難しいだろう。あえて新マーケットでのリーダーを目指すというのも冒険ではあるが面白い。
両方同時は難しいだろう。そしてどちらも進むに難い道だとは思う。それでも、ここ1週間ほどのLinuxビジネス関係者の意見は「とにかくどうにかなって欲しい」という点に集約される。未だ明確な方向性は出てきていないので、一日も早い戦略の発表が待たれる。
[宮原 徹,びぎねっと]