エンタープライズ:コラム 2002/09/03 23:23:00 更新


Linux Column:たまには隣の芝(林檎畑?)を見てみよう

個人的に昔からのMac使いで、現在はなんとなくMacから離れてしまっているが、今回のv10.2を見ていると戻りたいような気持ちもチラホラ。たまにはLinux以外の話をしてみる。

 このコラムはLinux ColumnということでLinux関係のお話をお届けしているが、やはりたまにはほかのところを見ることも大事だろう。というわけでLinuxのお隣さんといえばやっぱりWindowsよりはFreeBSDという感じがする(あくまでも主観的なものだ)。

 最近のFreeBSDといっても、どちらかというと注目したいのはFreeBSDのカーネルを採用したMac OS Xだ。ちょうどv10.2がリリースされたばかりで、先週はうちのオフィスにいるMac使いたちがHDDを大容量のものにアップグレードしたり、データのバックアップを取ってクリーンインストールに備えたりと大騒ぎだった。

 彼らのMac OS X v10.2に対するインプレッションを聞いてみると、前のバージョンに較べてだいぶ速くなったという。使用しているカーネルがFreeBSD 3.x系からFreeBSD 4.4へと変わったとのことだが、チューニングなども合わせて施されたのだろうか。徐々にMac的な部分とFreeBSDの融合が進んできているのかもしれない。

 今回、日本語対応という点ではUTF-8のサポートが行われ、ターミナルなどでもきちんと日本語が出るようになったようだ。それでもほかのOSとの接続時に細かい部分で文字コード違いの問題が出るようで、完全な対応にはもう少し時間がかかるのかもしれない。まあ、この問題はどのOSでも、あるいはWebベースのアプリケーションなどを作っているときでも起きる問題だが。

 個人的には昔からのMac使いで、現在はなんとなくMacから離れてしまっているが、今回のv10.2を見ていると戻りたいような気持ちもチラホラ。今年の下半期はLinuxのデスクトップ利用が進むぞ、なんてことをいっつも言っていますが、考えてみればMacにはMS Officeも用意されているし、GUIはX Windowとは較べようにもならないし・・・

 うーん、インテルアーキテクチャでMac OSが動いていれば、最高だったんですけどねえ。とりあえず、今のところ隣の芝は青いままのようです。

 さて、視点をもう少し広げてビジネスという点で見てみよう。「v10.2+ビジネス」という計算の答えは現状ではXserveということになるだろうか。待望のサーバー専用機ということで、評価する声は多いようだが、実際に導入はこれから。1Uラックマウント型という、管理のしやすさやコストパフォーマンスなどチェックポイントも多く厳しい市場だけに、どのように評価されるだろうか。

 Linux/UNIX系では老舗格のぷらっとホームが取り扱いを始めるなど国内での販売チャネルの整備に一定の成果は見られるだけに、とにもかくにも導入実績だろう。見込まれているのは今のところストリーミングサーバーとして、あるいはWebObjectsなどを利用したアプリケーションサーバーなどだろうか。処理能力や安定性なども気になるところだろう。

 次のステップを見据えると、やはりタワー型のサーバが欲しくなる。やはり現在出ている高速なPowerMacはワークステーションとしての利用イメージが強く、ワークグループレベルでの利用にはバランスが悪い感じがする。コストという点で難しいところだが、何か一つあるとラインナップという点で安心できそうだ。

 アップルのビジネス市場に対する挑戦は、FreeBSDのカーネルという武器を得たことでこれまでに較べると力を得たような気がする。もちろん、それで成功が約束されたわけではない。それでもこれまでのUNIX系の技術者が入り込むとっかかりが出来たわけだし、異なるカルチャーの交流の中から、何か新しいソリューションやビジネスが出てきたら面白いのではないだろうか。Linuxもうかうかとはしていられない。

[宮原 徹,びぎねっと]