エンタープライズ:ニュース 2002/09/05 00:28:00 更新


半数近くの事業所が何らかの形で無線LANを利用、ガートナーが調査

ガートナー ジャパンは9月3日、国内パネルを対象とした「無線LANの利用実態と需要動向に関する調査」の結果を発表した。これによると国内のオフィスのうち約半数で、何らかの形で無線LANが利用されているという。

 既に国内の事業所のうち半数近くで、何らかの形で無線LANが利用されている――ガートナージャパンは9月3日、このような調査結果を発表した。

 この「無線LANの利用実態と需要動向に関する調査」は、今年7月から8月にかけて、ガートナー ジャパンの固定パネル約1300人を対象に行われたもの。うち有効回答数は591人だ。

 今回の調査によると、ほぼオフィス全体で無線LANを利用できる事業所は、調査対象の5.9パーセント。また「ある特定の部門で使える」「会議室など人が集まるところで使える」はそれぞれ33.2パーセント、5.4パーセントとなっており、合わせて44.5パーセントの事業所で無線LANが利用されているという結果となった。

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「あなたのオフィスで無線LANが導入されているか」という質問への回答(出典:ガートナー、2002年9月)

 さらに16.4パーセントの事業所では、「無線LAN導入計画がある」と回答しているという。今後も引き続き、無線LANの導入が広がることはほぼ間違いないだろう。

 では無線LANによって得られた最大のメリットは何だろうか? ガートナー ジャパンによると、既に無線LANを利用しているユーザーにとって最も利便性を感じるのは「会議やプレゼンテーションなどに使えること」だという。

 またオフィスにおける無線LAN導入のあり方について尋ねた質問では、「会議室や接客室だけでも導入すべき」とする回答が39.4パーセントで最多となった。ちなみに「全社的に導入すべき」は34.3パーセント、「必要に応じて部門単位で導入すべき」は30.1パーセントだ。

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「オフィスにおける無線LAN導入について」(出典:ガートナー、2002年9月)

 その一方で、無線LANの「導入は時期尚早」だとする意見も24.2パーセントに上っている。ガートナー ジャパンの調査では、その理由までは明らかにされていないが、おそらくセキュリティや管理上の懸念が背景にあるのではないだろうか。

PDA復活のチャンスに?

 無線LANの活用範囲は、オフィス内にとどまらない。ホテルやハンバーガーショップ、駅など人の集まるところで無線LANアクセスを提供する、いわゆる「ホットスポット」にも注目が集まっている。今回の調査でも、回答者のうち51パーセントが、ホットスポットの利用に関心を示したということだ。

 また、ホットスポットを設置してほしい場所としては、「新幹線内」「コーヒーショップ/喫茶店」「電車」がトップ3に挙げられた。いずれも現時点では電源の確保すら難しい場所だが、これらはじっくり仕事をするタイプとこまめにメールをチェックするタイプの両方から支持を集めたという。

 ただし同社によると、調査対象であるパネルは、企業の事業戦略やIT戦略への影響力を持ち、ITに対する理解の深いユーザー層から構成されており、大都市圏のビジネスマンが中心。したがって、ごく一般的なユーザーを対象に同様の質問を行った場合、若干異なる結果を示すのではないだろうか。

 ガートナー ジャパンでは一連の結果を踏まえ、より軽量のノートパソコンが望まれる傾向が強くなると予測。同社ITデマンド調査室主席アナリストの志賀嘉津士氏は、リリースの中で、「無線LANの普及はモーバイル情報機器のフォームファクタに、再び大きな影響を与えるだろう」と述べ、特にPDA復活の最後のチャンスになるだろうとしている。

関連リンク
▼ガートナー ジャパン

[ITmedia]