エンタープライズ:ニュース 2002/09/18 17:37:00 更新


単なるハードウェアの性能ではなく顧客ごとの問題解決に軸足を移すサン

SunNetwork Conferenceの開幕を翌日に控え、サンはメンローパークキャンパスの新装なったiForce Solutions Centerをプレスに公開した。サンのコンセプトが顧客の問題を解決できるかどうかを実証し、業界ごとのソリューションとして、ほかの顧客の問題解決にも繰り返し応用していくのが狙いだ。

「SunNetwork 2002 Conference」の開幕を翌日に控えた9月17日、サン・マイクロシステムズは、カリフォルニア州メンローパークのキャンパス内にある「Executive Briefing Center」をプレスやアナリストらに公開した。同センターは先週、新装オープンされたばかり。手狭となっていたiForce Solutions Centerを移設し、規模も大幅に拡張している。

 サンでインダストリー戦略&開発の副社長を務め、同センターも統括するマージ・ブレア副社長は、「サンがSIやISVらと一緒に顧客のビジネス課題を解決するのが狙い」と、同センターの役割を話す。

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かつては半導体やiPlanetのマーケティングを担当したブレア氏

 同社が業界ごとのソリューションに力を注ぎ始めた背景には、これまで同社が得意としてきた金融業界や通信業界が、ドットコムバブルの消失以降、ITに対する支出を大きく削減していることがある。まるで展示会フロアのようなiForce Solutions Centerは、医療、製造、政府、教育、バイオ、小売りといった、どちらかというと同社にとっては新しい分野を含む7つの業界別ブースがあり、それぞれ2〜3の次世代ソリューションがデモされている。

 この日も、JavaCardを利用してセキュリティを強化しているIDカードや、Javaをエンドツーエンドで採用したe-ガスステーションといったお馴染みのソリューションが紹介されていたほか、バーコードに代わるスマートなタグとして開発が進められている「AUTO-ID」のプロトタイプもデモされていた。アイテムごとにリアルタイムの追跡が可能となるAUTO-IDには、製造業、特に日本のメーカーらが注目しているという。

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e-ガスステーションのコーナーにはウォッシュマシンのブラシまで持ち込まれている

 業界ごとのマーケティングを統括する彼女は、自身の役割を「サンの製品や技術を業種に合わせてマーケティングすることだ」と話す。同じデータベースでも、航空会社が座席予約に使うのと、製薬会社が臨床データを保存するのとは、解決すべき課題が異なるからだ。

 ブレア氏によれば、サンの言う「ソリューション」は、例えば、IBMが言うそれとは違うという。同社の技術は、大学と共同で開設している「Center of Excellence」(COE)で商用化に向けた研究が進められ、次の段階でiForce Solutions Centerにその成果が引き継がれる。

 現在、COEが40以上、iForceは75以上が世界各国に開設されている。iForceでは、サンのコンセプトが業種ごと、顧客ごとの具体的な課題を解決できるかどうか、実際のハードウェアやソフトウェアで実証する。ここで実証され、顧客を成功に導いたソリューションは、ほかの顧客が課題を解決する際に繰り返し応用されていくという一連の流れだ。

「顧客らは、システムを実装する際のリスクを最小限に抑え、なおかつ、そのスピードを求めている。もはや、CPUのクロック速度ではない」と話すのは、iForce Solutions Centerのシニアディレクターを務めるラジ・マサージ氏。

 自社が解決すべきビジネス上の課題を知っている顧客と、サン、SI、およびISVの4者が集まり、iForceでコンセプトが実証された数は、昨年1年間だけで200を超える。

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[浅井英二,ITmedia]