エンタープライズ:コラム 2002/09/19 20:18:00 更新


Linux Column:本格化してきたUnited Linuxについて考える

United Linuxがベータテストリリースに入ったようだ。ターボリナックスはUnited Linuxベースの製品を次期エンタープライズ向け製品のベースにしようと考えており、さらに、SCOは早速次期Linux製品ラインナップからUnited Linuxベースで統一していこうという比較的積極的な姿勢が見える。

 先週からUnited Linuxがベータテストリリースに入ったようだ。United Linuxの場合、「United Linux」という1種類のディストリビューションがあるわけではなく、1つのベースの上にUnited Linuxに参加している各ディストリビューションが味付けをするスタイルのようで、このテストも各ディストリビューションベンダーからのリリースとなる。筆者の元にもベータテストの案内が来たので、早速申し込ませてもらった。一体どのようなものに仕上がっているのか楽しみである。

 この時期にベータということは、年内には正式な製品としてリリースされるだろうか。日本で関係があるのはターボリナックスとSCO(旧カルデラ)の2社。ターボリナックスがUnited Linuxベースの製品を次期エンタープライズ向け製品のベースにしようと考えているようだが、今のところ製品リリースプランは発表されていない。これに対して、SCOは早速次期Linux製品ラインナップからUnited Linuxベースで統一していこうというところで、比較的積極的な姿勢が見える。

 United Linuxの市場におけるビジネス活動が本格化してくると、どのような状況が訪れるだろうか。正直、分からないところも多い。実際Turbolinuxのインストールベースはそれなりの数があるだろうが、今のところミッドレンジのサーバについてはUnited Linuxベースにはしない、というアナウンスの通りだとすると、その辺りのユーザーシステムの移行には時間がかかるだろう。移行が早いか遅いかは当然良し悪しだ。よいシステムはバージョンアップする必要がないし、Linuxのいいところはバージョンアップが強制されないことだ。少なくともセキュリティの問題さえ無ければ、カーネル2.0だったり、Debian GNU/Linuxのようにカーネル2.2中心で行くのもよいだろう。

 反面、技術の標準化を図ったメリットを市場に浸透させるのは時間がかかってしまう。理解している技術者がどれぐらいいるかが市場でのパフォーマンスを左右するだろう。

 結局のところ、どんなに提供側の押し出しが強かったとしても、United Linuxに対してユーザーや技術者がどれぐらい魅力を感じるか、という点に尽きるのが現在の状況だろう。

 そういう意味で、最近認定技術者の数が増加しているLPI技術者認定試験のような標準ベースの認定制度などと相まって来ると、意外と市場の受け入れは良いかもしれない。どうも最近は特定のディストリビューションでしか通用しないローカルな技術的なトピックやテクニックを多く感じるが、どうやっても差別化のしようがない、最大公約数的な部分については共通化・標準化を図っていこうというUnited Linuxの方針は個人的には評価できる。いい加減、方言で苦労するのはもうそろそろ止めたいところだ。その分のパワーをもう少し別のところに回せれば、と思うこともしばしばである。

 果たして緩やかな結束を作り出すことが出来るのか、United Linux陣営の動きに注目したい。

[宮原 徹,ITmedia]