エンタープライズ:コラム 2002/09/25 20:30:00 更新


Linux Column:Linux Conference 2002にて

先週は「Linux Conference 2002」が開催されたので足を運んできた。基調講演は、経済産業省大臣官房参事官である福田秀敬氏によるもので、現在のIT産業のコスト構造を「技術者の稼働率が低いことによる利益率の低下」に問題があるという点については同感した。

 先週は「Linux Conference 2002」が開催されたので、私も3日間の日程のうち2日目に会場に足を運んできた。これまでの開催では、関西と関東の交互に開催だったので今年は関西かと思っていたのだが、関東での開催となったので足を運ぶことが出来た。そういえば、過去2回の関西での開催には両方とも参加しているが、残念ながら昨年は参加していないので2年ぶりの参加ということになる。会場の雰囲気はどうなっているだろうか。

 今回会場となったサンケイプラザは大手町という、なかなかビジネスした場所で、会場内も綺麗でとてもいいところだ。ただ若干雰囲気が落ち着き過ぎているのが、とにかく活気がある方が好きな私としては残念に感じたが、あくまで好みの問題だろう。

 基調講演は、経済産業省大臣官房参事官である福田秀敬氏によるもので、一言で言えば面白かった。1時間の講演の後、30分質疑応答も時間オーバーのため打ち切られる感じで、もう少し話が聞きたかったところだ。個人的には、現在のIT産業のコスト構造を「技術者の稼働率が低いことによる利益率の低下」に問題があるという点については同感。

 ただし、同氏の「Linuxによる多重化構成で信頼性の向上と低価格化によるコスト削減、技術者の稼働率UPによる利益率の向上」という解決策については、もう少し考察が必要であろうと感じた。政策的にLinuxやオープンソースを推進することについて、現実に実行できる具体策が現時点では無かったのが残念だが、今後の進展に大いに期待できる内容であった。最近のイベントの中では、久々に基調講演らしい基調講演であったのではないだろうか。

 午後には日本IBM、サン・マイクロシステムズとワークショップを聴講し、展示ブースのある.Org Villageにて話を聞いたり、話したり。こういうイベントに来ると、久々に会える人がいたりして楽しいものだ。会場参加者で多く聞かれたのがLinuxを使った医療レセプトシステムの「ORCA」の話。本格普及はまだこれからという感じはするものの、張り切っている人が多かった。頑張ってほしいものだ。

 来場者は意外とネクタイをしている人も多くて、それは場所柄だろうか。それに、秋のLinux Worldが無くなくなり、情報収集の場が無くなってしまったからかもしれない。参加者の人数的には、テーマの多くが突っ込んだものだったので、参加者層もやはり限られてきてしまうのかなという印象。もう少し簡単なテーマのものがあってもよかったのではないだろうか。

 Linux Conferenceはそういうものだとして、来年の5月のLinux Worldが開催されるのかどうかも現時点では不明で、フェイストゥーフェイスで情報交換が出来る場が限られてきてしまいがち。もっとたくさんの人が集まって盛り上がって、Linux市場も盛り上げていきたいところだ。なんとなく最近の状況を反映したような側面が見えたような気がした。

[宮原 徹,びぎねっと]