エンタープライズ:インタビュー 2002/10/24 17:30:00 更新


Interview:「次の変化は“ポリシー”ベースのライフサイクル・マネジメント」

ストレージ業界は、容量の増加、複雑化する管理といった課題に直面している。ストレージテックがこの問題への処方箋として打ち出した「インフォメーション・ライフサイクル・マネジメント」について、パット・マーチンCEOに聞いた。

 米ストレージ・テクノロジー(ストレージテック)の会長兼CEO(最高経営責任者)のパット・マーチン氏は、FORUM 2002の基調講演において「インフォメーション・ライフサイクル・マネジメント」というコンセプトを強調した。FORUM 2002の多忙なスケジュールの中、マーチン氏に直接、このコンセプトがもたらすメリットや今後の展望について聞いた。

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前職のゼロックス時代から、アジア太平洋地域にはなじみが深いというマーチン氏

ZDNet 特に日本では景気の低迷が続いていますが、こうした状況が、アジア太平洋地域のストレージ市場に与える影響はありますか?

マーチン 確かに現在の状況は厳しく、多くの日本の企業にとっては試練が続くでしょう。ですが日本は常に、ストレージテックにとって大きな市場です。むしろ、このように景気が低迷し、企業の支出が限られているからこそ、効率的なストレージ管理を実現し、コスト削減を実現する方法が求められています。

ZDNet むしろ、ドットコムバブルの頃よりも大きなチャンスがあると?

マーチン そうです。私はしばしば日本を訪ね、顧客とミーティングを持っていますが、そのたびに「ストレージの効率的な管理方法はないものか」と尋ねられます。支出の削減が進む中、皆が効果的なストレージ管理方法を求めているのです。湯水のように投資がなされた、ドットコムバブル当時とは違います。そこにストレージテックのチャンスがあると考えています。

ZDNet FORUM 2002では、「BladeStore」や「D280」などのハードウェア製品やストレージ管理用ソフトウェアが紹介されていますが、サービス事業にはどのように取り組んでいますか?

マーチン われわれは約1年前に本格的にサービス事業を開始しましたが、アジア市場でもヨーロッパ市場でも、また北米市場においても大きく成長しています。サービスはわれわれにとって非常に大きな事業であり、重要視しています。

ZDNet しかしながらIBMやEMCといった競合他社も、同様にサービスに重点を置いています。どのように差別化を図るのでしょう?

マーチン IBMならばIBMの製品だけ、またEMCならばEMCの製品だけに縛られてしまいますが、われわれの場合、そんなことはありません。われわれは相互運用性を重視しています。テープライブラリやディスクサブシステムといったさまざまな製品に加え、55社におよぶパートナーとの協調もあります。

 そのうえ、ストレージテックには、今回発表した新しい製品や技術、それにインフォメーション・ライフサイクル・マネジメントという優れたアプローチがあります。業界全体の、そして顧客企業のCIO(最高情報責任者)が抱えるコスト削減という課題の実現を支援することができます。

ZDNet このインフォメーション・ライフサイクル・マネジメントというコンセプトによって、企業にはどんなメリットが生まれますか?

マーチン 企業の情報の多くは、エンタープライズ・ディスク(注:ファイバチャネルやSCSIを用いた、ハイエンドのディスクシステム)に保存されていますが、その9割はただそこにあるだけで、大きな無駄になっています。ストレージテックでは、ディスクやテープなどのハードウェア、管理ソフトウェアを通じて、データの生成からバックアップ/リカバリなど、ストレージのあらゆる側面をサポートすることにより、この問題を解決していきます。適切なデバイスに情報を移行させることにより、効果的に管理を行い、コストを削減することができるのです。

ZDNet では最後に、ストレージ市場における次の大きな変化は何だと思いますか?

マーチン セッションの中でも触れられていましたが、ポリシーベースのインフォメーション・ライフサイクル・マネジメントだと思います。ストレージテックがインフォメーション・ライフサイクル・マネジメントというコンセプトを打ち出したのは半年前のことですが、今ではEMCをはじめ多くの企業がこれに目を向け、同様のコンセプトを提唱するようになってきました。そして次は、データの性格や環境、利用法などに応じた「ポリシー」に基づくインフォメーション・ライフサイクル・マネジメントが起きると思います。



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▼日本ストレージ・テクノロジー

[聞き手:高橋睦美,ITmedia]