エンタープライズ:ニュース 2002/11/05 18:08:00 更新


エンタープライズ分野における取り組みや製品を大量紹介──阿多社長基調講演

11月5日、東京・有楽町の東京国際フォーラムにおいて、マイクロソフトが主催する「the Microsoft Conference 2002/fall」が開幕した。午前中の基調講演では、「新たなシステム価値を創造する“.NET”」と題して、マイクロソフト代表取締役社長の阿多親市氏が、同社の最新技術とエンタープライズシステムへの取り組みについて、数多くのゲストやデモンストレーションを交えて紹介した。

 11月5日、東京・有楽町の東京国際フォーラムにおいて、マイクロソフトが主催する「the Microsoft Conference 2002/fall」が開幕した。このカンファレンスは、企業情報システムに向けたマイクロソフトの取り組みや製品群を、数多くの事例を交えながら紹介するもので、今回で7回目の開催となる。東京では7日までの3日間行われ、11月19日、20日は会場を大阪(ホテルニューオータニ大阪)に移して開かれる。

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マイクロソフト代表取締役社長の阿多親市氏

 午前中に行われた基調講演では、「新たなシステム価値を創造する“.NET”」と題して、マイクロソフト代表取締役社長の阿多親市氏が、同社の最新技術とエンタープライズシステムへの取り組みについて、数多くのゲストやデモンストレーションを交えて紹介した。ただ、あまりに多くの情報を詰め込んだせいか、予定の1時間半には収まりきらず、2時間の長丁場になった。

まもなく登場の「CMS2002」や「WSU3.0」を披露

 基調講演は大きく3つのステージ分かれて行われた。はじめは最新製品の紹介で、阿多氏自ら、タブレットPCの手書きノートソフト「ジャーナル」を使ったデモや、Windows Media 9のデモを行ったが、これらは10月に開催されたCEATEC JAPANなどのイベントで披露されたものと同様のものだった。目新しいものでは、11月25日に発売予定という「Content Management Server 2002(CMS2002)」、12月6日に発売予定の「Windows Service for UNIX 3.0(SFU3.0)」について、概要の説明とデモを行った。

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タブレットPCのデモは阿多社長自身が行った。阿多氏は8月以来、タブレットPCをずっと使っているという

 CMS2002は、米マイクロソフトが買収した米エヌコンパスの製品で、エヌコンパス製をほぼそのまま販売していたCMS2001に対し、CMS2002では完全にリエンジニアリングを施した。すでに複数の大規模サイトへの導入が決定しているという。マイクロソフトによれば、最大の特徴は、デザインテンプレートを装備しており、WordやWebブラウザと統合されたオーサリングツールによって、容易にコンテンツの変更ができる。ダイナミックで大規模なWebサイトを比較的低コストで構築・運用が可能としている。

 SFU3.0では、これまでのようにWindowsとUNIX混在環境の運用をサポートするだけではく、UNIXからのアプリケーションの移行をサポートする製品だという。SFU3.0のコア技術は、Windows NTカーネル上に直接実装されたUNIX互換環境の「Interix」だ。UNIX上で動作しているアプリケーションのソースをInterix上でgccを使ってコンパイル(VisualStudio.NETのコンパイラも利用できる)し、動作させるというデモを披露した。また、単にUNIXのアプリケーションをWindowsで動作させるだけでなく、.NETの機能を使って拡張し、Webサービスとして利用できるようになるとしている。

各社との連携したエンタープライズシステムへの取り組みを強調

 続いてエンタープライズへの取り組みについて、日本電気と共同で行っている「Microsoft Systems Architecture」に関する協業/検証活動、日本ストラタスが発表した、Windows システムの障害発生時に10万ドルを支払うという「Trust-Meプログラム」、UNIX+Oracleベースの基幹システムを、Windows Datacenter Server+SQL Serverに置き換えたミノルタの事例、富士通や日本電気との.NETに関する戦略提携などを紹介し、Windowsプラットフォームが企業の基幹システムに十分対応できることをアピールした。

 その上で阿多氏は、「SD3(エスディスリー)」と呼ぶ、マイクロソフトの全社レベルでのセキュリティ強化策について説明した。3つのSDとは、セキュリティ機能の実装といった「Secure by Design」、デフォルトで利用可能な機能の最小化など進める「Secure by Default」、セキュリティ関連情報を公開する「Secure by Deployment」を指している。さらに、10月30日に発表した「Common Criteria Certification」の取得を紹介し、同社が進めるTrustworthy Computingへ着実に前進していることをアピールした。

今後のロードマップでコードネームを少しだけ披露

 3つめのパートでは、64ビット版WindowsやIIS6.0など、現在開発中の製品について、いくつかのデモンストレーションを行った。

 64ビット版Windows .NET Server 2003 Datacenter Editionのデモは、日本電気の32wayのItanium 2搭載サーバ「TX7/i9510」を使って行われ、10次元の巨大なOLAPキューブによる分析を高速処理できることを見せた。また、IIS6.0の機能として「Windows System Resource Manager」のデモを行った。Windows System Resource Managerは、大きなメモリ空間を占有したり、ハングアップしたアプリケーションからメモリを解放して、ほかのアプリケーションに割り当てるといった機能を持つもの。IIS6.0のアプリケーションプラットフォームとしての信頼性を高めることが狙いだ。

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マイクロソフト製品ロードマップ「Longhorn Wave」の項目には「Office12」の名前も見える

 最後に阿多社長は、「Three Waves of Software」と名付けた製品のロードマップを紹介した。それによると、Windows .NET Server 2003ファミリを中心とした「現在の波」、に続いて、次世代SQL Server「Yukon」を中心とした「Yukonの波」、そして次世代Windows「Longhorn」を中心とした「Longhornの波」と続いている。それぞれの波には、VisualStudioの各バージョン、次々世代Exchange Serverのコードネームが示され、マイクロソフトがいかにエンタープライズ分野に力を注いでいるかが見て取れるものとなっていた。

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関連リンク
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▼the Microsoft Conference

[佐々木千之,ITmedia]