エンタープライズ:ニュース 2002/11/15 09:21:00 更新


「今のSANにはいまだに問題がある」、シスコがIP-SANにらんだ新ストレージ製品

シスコシステムズは11月14日、FCとiSCSI、FCIPに対応したSANスイッチ製品、「Cisco MDS 9000」を発表した。

 前々からストレージ市場への興味を示していたシスコシステムズ(シスコ)が、いよいよ本格的にネットワークストレージ製品を投入してきた。

 同社は11月14日、ファイバーチャネル(Fibre Channel:FC)のほかiSCSIおよびFCIP(Fiber Channel over IP)に対応したSAN(Storage Area Network)スイッチ製品、「Cisco MDS 9000」を発表した。いずれも米シスコが8月に買収した米アンディアモシステムズの製品で、2機種4製品から構成されている。

 1つは、大規模SANでの適用を狙った「MDS 9500シリーズ」。いわゆる“ダイレクタ”だ。搭載可能なスロット数によって、3機種が用意されている。もう1つは、ミッドレンジのシステムをターゲットとしたファブリックスイッチ「MDS 9216」だ。米国では年内、日本では2003年の早い時期に出荷される予定という。

 FC-SANの市場では、ブロケード・コミュニケーションズ・システムズやマクデータといったFCに特化した製品が大きなシェアを占めている。シスコはこれまで、ストレージルータ「SN 5420/5428」を提供してきたが、MDS 9000ファミリの投入によって、マルチプロトコル、マルチトランスポート対応という強みを生かし、今後の市場拡大が見込まれるIP-SAN、IPストレージへの橋渡し役を目指す。

 都内のホテルにて開催中の「CiscoWave for Exective 2002」のセッションにおいて、米アンディアモシステムズ(兼米シスコのストレージ・テクノロジー・グループ)のトム・ノゼラ氏は、ストレージ市場は、SANの孤島が点在する現状から、iSCSIやFCIPを組み合わせたマルチレイヤストレージネットワークへ、さらにはマルチレイヤストレージユーティリティへと移行していくとした。

「現在のSANにはいまだに問題が存在する。その1つは拡張性の欠如だ」(ノゼラ氏)。同氏はまた、セキュリティや管理機能といった要素も欠かせないとし、MDS 9000ファミリはそれらを解決するとした。「MDS 9000は業界初の、統合されたマルチプロトコルプラットフォームだ」(同氏)。

 例えば、同ファミリの最上位機種で13スロットの搭載が可能な「MDS 9513」の場合、1台当たり最大256ポートの搭載が可能だ。これにより、複数のファブリックスイッチを組み合わせる必要のあったSANの構成をぐっとシンプルにできるという。

 セキュリティの面では、ACLによる制御のほか、FC-SPのサポートなどがなされている。運用管理を支援する機能も複数サポートしており、SNMPv3やSPANに対応するほか、「Cisco Fabric Analyzer」「Cisco Fabric Manager」といった管理ツールを通じて、障害の把握と修復、他の管理ソフトウェアとの連携を容易に行えるという。

 もう1つのユニークな機能として「VSAN(Virtual SAN)」が挙げられるだろう。「イーサネットにおけるVLANのようなもので、1つの物理的なインフラ上に、論理的に複数のSANを、つまり仮想的なファブリックを作るものだ。それぞれにサービスやゾーンを割り当てることもできる」(ノゼラ氏)。

 しかも、MDS 9000ファミリでは、共通のラインカードが提供される。まず16ポートFC、32ポートFC、8ポートiSCSIという3タイプのモジュールが提供されるが、これらは各スイッチ間で共用が可能だ。

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[高橋睦美,ITmedia]