エンタープライズ:コラム | 2002/12/17 21:13:00 更新 |
Linux Column:公共システムでのオープンソース採用のルールを
オープンソースの最近の動きで感じるのは「公共系」の話が多いことだ。お役所がオープンソースを採用しようとしている。オープンソース型OS、総務省が研究会を発足など、キーワードを拾い始めたらキリがない。公的な領域でのオープンソースソフトウェアの利用というのは実際のところはどうなのだろうか。
最近のオープンソースにまつわる動きを見ていて感じるのは、「公共系」の話が多いことだ。要するに、いわゆる「お役所」がオープンソースと言っている。先日も、日経新聞の朝刊1面トップに、住基ネットの次のリプレースのタイミングを狙って、さまざまな会社がLinuxを利用したシステム開発をスタートさせるというような内容の記事も掲載されていた。それ以外にもオープンソース型OS、総務省が研究会を発足など、キーワードを拾い始めたら結構キリがない。
公的な領域でのオープンソースソフトウェアの利用というのは、どちらかというとヨーロッパの方が進んでいるようだが。あまり情報がないため、実際のところはどうなのだろうか。これから色々と情報が入ってくるだろう。個人的にはオープンソースとの親和性が高い領域だと思うので、それらの情報を踏まえつつ、よいシステム作りに繋がればと期待している。
ただ、不安もある。一体、なんのためにオープンソースを導入するのか?
理由を明確にするのはこれからということなのだが、オープンソースを導入しつつも、最終的な成果物がオープンにならない可能性がないか。
例えば、公共機関にシステムが導入された場合、利用者はその機関となる。第3者はそのシステムのソースコードを見たくても、ライセンス的な縛りでもって開示を請求することは難しそうだ。とすると、公文書の開示手続きを行うのか? 結局のところ、オープンソース的な考えとは相反するお役所的な手続きに取り込まれてしまわないだろうか。これでは、オープンソースである意味はほとんどない。
技術的な側面よりも先に、構築されたシステムを公共財ととらえ、どのように共有し、無駄を省いて税金の浪費を減らすか、というプロセス形成のための議論が行われるといいのだが。その手段としてのオープンソースであれば、大いに採用、活用して欲しい。
来年はこの辺りの議論が色々な場でなされることだろう。納税者でもある皆さんは、どのように考えるだろうか?
[宮原 徹,びぎねっと]