エンタープライズ:ニュース 2003/01/16 19:24:00 更新


真のグローバル化で顧客企業を成功に導くOracle E-Business Suite

米国時間の1月19日、Oracle E-Business Suiteにフォーカスした年次カンファレンス「Oracle AppsWorld 2003 San Diego」が開幕する。世界経済の先行きが不透明なままだが、厳しい経済の下でも成長を維持している企業は、競争力を支えるITへの投資を重要視している。Oracle AppsWorld 2003では、短期間でE-Business Suiteが導入できる「Business Flow Accelerator」の詳細が明らかにされるもようだ。

 世界経済の先行きが不透明なままだ。薄明かりが射してきたと思えば、混迷するイラク情勢が影を落とす。そうした一進一退を繰り返す中、企業はITへの投資を以前にも増して慎重に捉えている。調査会社によれば、日本企業はERP,CRM,SCMへの関心は高いものの、実際に導入を計画するユーザーは減っているという。

 しかし、あらゆる領域のIT投資を抑えるというような消極的なスタンスでは企業の競争力そのものを衰退させてしまいかねない。実際、厳しい経済の下でも成長を維持している企業は、競争力を支えるITへの投資を重要視している。米国時間の1月19日からカリフォルニア州サンディエゴで開催される「Oracle AppsWorld 2003」カンファレンスでは、6つのゼネラルセッションや150以上のブレークアウトセッションを通じ、そうした先進事例が多数紹介される。

 サンディエゴは、カリフォルニア州の南端に位置し、メキシコ国境までわずか30キロ足らず。眩しい太陽の光と青い空が広がるが、海流と地形のおかけで1年を通じて過ごしやすいリゾート地だ。海岸はどこまでもヨットハーバーが続くほか、西海岸有数の海軍基地も置かれている。

 ラリー・エリソン会長兼CEOは、アメリカズ・カップ挑戦艇の座を賭け、ルイヴィトン・カップ決勝戦を11日から戦っているため、ニュージーランドからの衛星中継での登場となる。エリソンCEOは衛星中継を比較的多用する。昨年11月のOracleWorld 2002 San Franciscoのキーノートも、ルイヴィトン・カップが行われているニュージーランドからだった。オラクルでは、セールスのキックオフイベントもインターネットを介して行っており、ここまで徹底すれば、「e-ミーティングの実践」と逆手に取って、顧客らにアピールできる。

 エリソンCEOが、アプリケーションやデータの統合によるTCO削減について話をするときも、しばしば同社の実践に言及する。オラクルでは、スケーラブルなOracle9iを基盤とし、30の言語、さまざまな通貨、そして国や地域によって異なる制度に対応する「Oracle E-Business Suite 11i」を使い、システムもコロラド州とカリフォルニア州のデータセンターに集約している。

「1つの標準化されたコンピュータシステムを使い、1つのビジネスプロセスによって企業を動かしていくことによって得られるメリットは、単にITコストの節約だけではない。真のグローバルオペレーションが可能になった」とエリソン氏は話す。

 今、日本企業の多くは、WTO加盟によるビッグバンで、目覚しい発展を遂げる中国を目の当たりにしながら、生き残りを賭けて岐路に立っている。安いコストと高い品質を求め、今後は中国へ生産拠点を移す傾向にいっそう拍車がかかるだろう。昨年6月の「OracleWorld 北京」でエリソン氏は、そうした日本企業の幹部らを前に、「時代遅れのITシステムが迅速な事業展開の障壁になっているのではないか」と指摘した。

 昨年10月、オラクルが発表したOracle E-Business Suite 11i リリース8(日本版は未発表)は、倉庫および輸送機関を管理するアプリケーションが追加された。既に組み込まれているSCM(Supply Chain Management)コンポーネントと組み合わせて使われるのだが、オラクルが同分野へ参入するのは初めてだ。

 また、新しいE-Business Suiteは、企業があまりクリティカルでないプロセスはアウトソーシングしようというトレンドに合わせ、機能強化された。本来は、e-マーケットプレイス向けにデザインされたオンラインネゴシエーションやデータシェアリングのツールをSCMソフトウェアに組み込んでいる。

 データベースが依然としてオラクルの売り上げの過半数を占めているものの、アプリケーションビジネスは戦略的に極めて重要なビジネスだ。SAP、ピープルソフト、シーベル・システムズといったライバルらがひしめく中、オラクルはインターネット技術をベースとしたE-Business Suite 11iを2000年に発表している。

 なお、Oracle AppsWorld 2003では、営業提案書類の作成を支援すべくデザインされた「Oracle Proposals」や、データ分析/レポートツールセット、「Oracle Daily Business Intelligence」の拡張機能など、E-Business Suiteの新しい機能が披露される予定だ。

関連記事
▼日本オラクル、Linuxに対応した「Oracle E-Business Suite 11i リリース8」を出荷開始
▼オラクルが新しいOracle E-Business Suiteを準備中
▼オラクルが新しい「E-Business Suite 11i8」を発表

関連リンク
▼Oracle AppsWorld 2003サイト

[浅井英二,ITmedia]