エンタープライズ:コラム 2003/01/22 18:19:00 更新


Linux Column:ネット家電製品の立ち上がりは?

2003年の私の3つ目の予想は、ネット家電へのLinuxの活用だ。最近ではザウルスのようなPDAに組み込まれているが、今後どのようなものに組み込まれていくだろうか。

 2回続けて今年の予想を掘り下げてきたので、今週も同じ調子でいこうと思う。

 さて、3つ目の予想はネット家電へのLinuxの活用。最近ではザウルスのようなPDAに組み込まれているが、今後どのようなものにLinuxが搭載されるだろうか。

 私が個人的に注目しているのが、ビデオ関連機器へのLinuxの組み込みである。特に最近盛んなハードディスク組み込み型のディスクレコーダータイプである。DVDに録画できたりもして、楽しそうです。まあ、単に私が欲しいだけだったりもしますが、あまりテレビを見ない私が欲しくなるぐらいだから、一般的な購買意欲も高いのではないか。実際、店頭で品物をじっくりと見ている人も多いし、広告などもよく目に付く。

 価格も思ったほど高くない。というよりも安い。デジタル衛星放送チューナーなども入っていることを考えると、買いじゃないかと思えてしまう。いや、買いでしょ!とか言っていると本当に買いそうなのでやめておきますが、電子番組表などと合わせて、家の外から予約録画できたらいいなあとか。わざわざ自宅のビデオに接続できなくても、インターネット上のサーバの予約情報を置いて、ビデオが一定間隔でポーリングしてくれれば問題ないですし。

 何度も言うが、安いと思う。ただし、それは私のような新しいモノ好きの、中に何が入っていて、それがどれぐらいのコストなのかということが分かっている人間だからそう思えるのであって、一般的な感覚ではまだまだ高いだろう。普通のビデオデッキが1万円を切っている時代だから。普及価格帯にもってこようとすれば、当然もう一段安くする必要はある。コストダウンの常套手段は、パーツをありふれた汎用品にすることだ。それも単価の安いものに。

 全体のコストに占めるソフトウェアの割合が、ネット家電の場合はことさら大きそうだ。携帯電話などはソフトウェア部分のライセンス料が全体の10%程度必ずあるため、コストダウンがままならないのが実情だと、昨年のLinux Conferenceの際に聞いた。外側にいる人間からは実際のコスト事情は窺い知れないので推測でしかないが、どの製品も似たような構図があるのではないかと想像する。

 当然そこにオープンソースを、という話になるだろうが、最近ではJPEGに関するサブマリン特許が問題になるなど、組み込みでのライセンス問題は死活問題になりかねない。オープンだと思われていたJPEGで特許問題が起きたのは、インパクトは大きい。ネット家電は当然新しいソフトウェアテクノロジーが入ってくるので、オープンソース系のソフトウェアを採用したくてもリスク回避の点で採用できない場合も多いのではないだろうか。カーネルレベルでは、その辺りのリスクも担保するベンダーが存在するが、上位のアプリケーションではまだまだだろう。この問題に対して、オープンですっきりとした解決手段を提供してもらうことが、普及発展に必要な気がする。

 そして、適正利益を確保しつつ、安くなれば言うことなしだ。

[宮原 徹,びぎねっと]