エンタープライズ:コラム 2003/01/28 21:23:00 更新


Linux Column:オープンソースのサポートのあり方について

最近私が入っているメーリングリストで話題になったのが、サポート期間の問題。例えば、Red Hat Linuxのサポート期間は通常のバージョンが出荷後12カ月、サーバ用途のAdvanced Serverで3年とのこと。これは短すぎはしないだろうか。

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 さて、最近私が入っているメーリングリストで話題になったのが、サポート期間の問題です。たとえばRed Hat Linuxのサポート期間というのは、通常のバージョンが出荷後12カ月、サーバ用途のAdvanced Serverで3年とのこと。サポート期間が過ぎると、パッケージのアップデートは行われなくなる。あくまで「原則」としているので可能性がないわけではないが、現時点では特にサポート延長のための特別メニューが用意されているわけでもない。

 正直、短すぎると思う。Advanced Server以外のバージョンが全て12カ月でサポートが切られてしまうのは、実質的にビジネス系では使うなと言っているのと同義だと思うのだがどうだろう?

 例えば、比較的クライアント用途として使えそうに見えるRed Hat Linux 8.0も、たった1年でサポート打ち切りでは、システムに導入することはできなそうだ。レッドハットはAdvanced Workstationを出荷することを発表している。サポート期間については不明だが、Advanced Serverと同様だろうか。

 Advanced Serverのサポートが3年、現在のバージョンのサポート終了が2005年5月末ということで実質2年ちょっとしかないので、これまた普通に考えると、商用のシステムに導入することは躊躇せざるを得ない。実際、最近のRed Hat Linuxは積極的に新しいバージョンのコンポーネントを取り入れる傾向が感じられる。それらが安定してくるまでの時間を考えると、慣熟が終わる頃にはサポート期間切れ、というサイクルに陥りそうだ。

 オープンソースソフトウェアにおけるサポートのあり方とは、どういったものなのだろうか。

 少なくとも、オープンソースには「バージョンアップを強要されない自由」がある。システムが安定しているのであれば、提供側の都合(特にビジネス的な)に左右されず、オールドバージョンを使いつづけることができる自由だ。ここでの自由は、あくまでもバージョンアップすることも選択肢として存在することを前提にした自由である。一方で、セキュリティホールへの対処など、修正版への速やかな移行が必要な場合がある。

 どちらを選ぶかは場合によるが、いずれかを選ぶことができる自由があること自体が重要だろう。もちろん、自由は無制限に手に入るわけではなく、引き換えとしてサポートコストをサポートベンダーに対して支払うわけだが、サポートの内容と、コストとして妥当であるかの両面から評価されることになる。

 前述の例では、コストは置いておくとして、内容的に間尺の合わない可能性が高いのではないだろうか。そういう意味で、決定については甚だ疑問であるし、だからこそ新しい形のサポート形態が出てくる余地があるようにも感じる。この辺りについては今回は問題提起だけになってしまうが、近々掘り下げて考えてみたい。

[宮原 徹,びぎねっと]