エンタープライズ:ニュース 2003/02/12 20:58:00 更新


ブレード、ミッドレンジ……、サンが東京でも新しいサーバ製品群を一斉に発表

サンが米国での発表を受け、国内市場でも新しいサーバ製品ラインの販売を開始している。高速のUltraSPARC III Cuを搭載したハイエンドサーバや、IAサーバの価格帯でエンタープライズ級の性能を提供するSun Fire Vシリーズの最上位機、同社初となるSPARCプロセッサ搭載のブレードシステムなど盛りだくさんだ。

 サン・マイクロシステムズは祝日明けの2月12日、米国での新製品発表を受け、都内でプレスカンファレンスを行った。米国での発表と同様、ミッドレンジおよびハイエンドサーバに1.2GHzで動作するUltraSPARC III Cuプロセッサを搭載した高速モデルを追加したほか、ハイボリュームを狙うラックマウント型ミッドレンジサーバ「Sun Fire V1280」や同社初となるSPARCプロセッサ搭載ブレード製品「Sun Fire ブレードプラットフォーム」を販売開始する。

 プレスカンファレンスに出席したインフラストラクチャソリューション事業を担当するジェームズ・ホワイトモア取締役は、「ドットコムバブル崩壊後、悲観論が喧伝されているが、インターネットはまだその進化の始まりに過ぎない。われわれの“The Network is The Computer”という創業以来のビジョンも不変。オープンを貫き、顧客に選択肢を提供したい」と話した。

 ホワイトモア氏は、IBMとの厳しい戦いを意識し、「エンドツーエンドのシステムベンダーと呼べるのは、われわれとIBMだけだが、パートナーと一緒に統合化された選択肢を提供できる点がわれわれの差別化ポイントだ」と主張した。

 彼によると、サンは現在、セールス、プロフェッショナルサービス、サポートといった部隊を「Webサービス」「エッジ」「データマネジメント」および「データセンター」という4つのインフラストラクチャソリューション志向に再編中という。今回発表された一連の新製品群は、最後のデータセンター領域にかかわるもので、「コスト」「利用効率」、そして「簡素化」がソリューションの狙いとなる。

 サンのサーバ製品であるSun Fireサーバファミリーは、2つに大別される。

 垂直方向のスケーラビリティやアベイラビリティを要求される分野に適した「V1」製品群は、Sun Fire 4800、6800、12K、および15Kからなり、「Uniboard」と呼ばれる共通コンポーネントが採用され、柔軟な拡張が可能だ。12Kおよび15Kでは今回、異なるクロックで動作するCPU/メモリボードが混在できるようになり、システム資源を最大限に生かせるようになる。

 もちろん、1.2GHz版のUltraSPARC III Cuを搭載することで、約44%の性能向上も実現されている。104個のCPUを搭載したSun Fire 15Kが、SAP R/3 4.6C SDベンチマーク(Standard Sales and Distribution 2-tier Application benchmark)において、8000ユーザーという世界最高性能を記録したという。

同社初、SPARCブレード

 V1とは逆に、水平方向の拡張性が求められるローエンドからミッドレンジのサーバ群が「H1」を構成している。同社初のSPARCプロセッサを搭載したブレード製品もこのH1に属する。

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3Uの「シェルフ」に16枚のブレードが装着できるSun Fireブレードプラットフォーム


 サンの新しいブレード製品の特徴は、ギガビットイーサネットスイッチや管理機能を盛り込んだインテリジェントシェルフにある。高さ3U(約13.2センチ)の「Sun Fire B1600」インテリジェントシェルフは、16枚のブレードを装着でき、標準ラック(42U)では14個のシェルフ、合計224枚のブレードサーバが格納できる。UltraSPARC IIi 650MHzプロセッサを搭載した同社が販売している1UのSun Fire V100とほぼ同等のスペックながら、5倍以上の高密度を実現している。

 第2四半期には、x86ベースのブレードサーバも改めて発表され、その際にはx86版SolarisとLinuxがサポートされるという。その際には、同一のシェルフ内に異なるプラットフォームを混在できるようになるという。

 ロードバランシングやSSLアクセラレーターの機能をブレード化した「スペシャルティブレード」もユニークだ。シェルフに内蔵されたギガビットイーサネットスイッチと組み合わせ、動的かつ柔軟なWebサーバファームを構成できる。シェルフ内にこうした機能を取り込むことで、ケーブリングなども一段と簡素化できるという。

 なお、サンはSun Fireブレードプラットフォームに特化したストレージ「Sun StorEdge 3310 NAS」も発表している。高さ2Uながら、きょう体内に12台のディスクドライブと1Gバイトキャッシュを搭載できるほか、OSやサーバアプリケーションのイメージを格納しておき、各ブレードサーバの配備を簡略化できる機能も備えているという。

 H1製品群とV1製品群のちょうど中間を埋めるミッドレンジサーバの新製品も発表されている。エンタープライズクラスの性能をIAサーバの価格で提供するハイボリューム製品、Sun Fire Vシリーズの最上位機となるラックマウント型「Sun Fire V1280」は、UltraSPARC III Cu 900MHzを最大12個まで搭載でき、V880と4800の中間に位置付けられる。サンでは、ライバルのミッドレンジサーバ最上位機をも性能、機能、価格の面で凌駕できると自信を見せる。

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高さ12U(52.7センチ)、奥行き54.5センチというコンパクトさも特徴のSun Fire V1280


 J2EEアプリケーションの処理能力をテストするベンチマーク、SPECjAppServer2001においては、デュアルノードで521.86BOPS(Business Operations Per Second)の世界最高性能を記録している。これは、オラクルが提出したもので、アプリケーションサーバには、Oracle9i Application Serverが使われている。

 価格は、UltraSPARC III Cu 1.2GHzを2個搭載した最小構成のSun Fire 4800が4194万9000円、6800が4717万4000円、CPUを8個搭載した最小構成のSun Fire 12Kが1億9280万円、15Kは2億7510万円となっている。

 また、4CPUのSun Fire V1280の価格は1402万円、Sun Fireブレードプラットフォームは、インテリジェントシェルフが72万8000円、Sun Fire B100sブレードサーバは27万2000円となっている。

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[浅井英二,ITmedia]