エンタープライズ:ニュース 2003/02/15 03:19:00 更新


Microsoft Metadirectory Services 2003が実現する異種ディレクトリサービスの統合

今回のEDC 2003で国内初登場となったMicrosoft Metadirectory Services(MMS)2003を使うと、異種ディレクトリサービスを容易に統合させることが可能となる。

 Microsoft UK Ltd. Architectual Engineerのスティーブ・プランク氏は、「Microsoft Metadirectory Services 2003による異種ディレクトリの統合」と題した同時通訳セッションでデモを交えながら、MMSでどのように異種ディレクトリの統合がなされるかを詳細に解説した。

スティーブ・プランク氏

Microsoft UK Ltd. Architectual Engineer スティーブ・プランク氏


 プランク氏はまず現状の問題点として、さまざまなディレクトリが混在している環境では、ログオン動作をそれぞれに行わなければならないなど、ユーザーの使い勝手の面からも不便である点を指摘、その解決策として、それぞれのディレクトリを「Join」することを提案した。ここでMMSについての説明があり、そのコンセプトとして、さまざまなディレクトリやデータベースにアクセスするためのMA(Management Agent)、接続先のディレクトリから取り込んだデータを一時的に保管する場所となるCS(Connector Space)、さらに集約したデータを保管するMV(Metaverse)というコンポーネントからMMSが成り立っていることが説明された。MVはSQL Serverをデータストアとして使用し、管理クライアントとDCOMで接続される点も説明された。

MMS

MMSはNTサービスである。また、MVはデータストアとしてSQL Serverを使用し、管理クライアントとはDCOMで接続される


 MMSはスクリプトベースで動作し、大まかに言えばWindowsのタスクマネージャのような動きをする。デモで実演されたのは、SQL Serverベースで構築された独自の人事管理システムのデータをMMSで取り込み、Active Directoryに反映させる、また、独自に構築した別のシステムである経費請求システムとも連動させるというものであった。人事データベース上で新入社員のデータを追加した際に、同時にActive Directoryにアカウントを追加したり、経費請求システムにもユーザーを登録するという場面を想定し、これらを自動的に行うシナリオでデモが実演された。

 このデモを通して説明されたMMSの機能は、まず、MAを通してさまざまなディレクトリまたはデータベースに保存されているデータを、参照また更新できるという点だ。これらは、システム要件で設定する一定のタイミングで実行されるスクリプトで処理される。ただしスクリプトといっても複雑なものではなく、MMSの動作として、MAが取り出したデータは一旦CSに蓄えられる。このときスクリプトが読み出したCSのデータ(デモの例では人事データ)をもとに処理を行い、書き込むための別のMAと接続された別のCSにデータを設定する。この後、MMSが書き出し側のMAを使って、更新すべきディレクトリ(デモの例で言えばActive Directory)にアクセスするというシナリオだ。

 実際には次のセッションでデモされたことだが、スクリプトのスケルトンは自動的に作成され、Visual Studio .NETで簡単に編集し、作成実行することが見て取れた。プランク氏によれば、簡単なバッチ処理を記述できる能力があれば、誰でもスクリプトを作成することが可能という。セッションで取り上げられたものとしては、人事データベース内の姓の情報と名の情報を使い、「姓」+「,」+「名」という形に整形するスクリプトがある。

 MMSがスクリプトを使用する利点としてデモで実演されたのが、ビジネスルールをディレクトリの統合に持ち込むことができるという点だ。人事データベースから経費請求システムに同期させるときに、役職によって、請求できる経費の上限を設定するというロジックをスクリプトの中に記述するという方法が示された。

 デモマシンの調子が悪くなり、残念ながら途中で中断されてしまったデモもあったが、MMSの動作や有効性よく伝えるセッションであった。

関連リンク
▼Microsoft Enterprise Deployment Conference 2003 レポート
▼Windows.NETチャンネル

[宮内さとる,ITmedia]