エンタープライズ:ニュース 2003/02/26 16:50:00 更新


Keynote:サン、TECH DAYSでオープン化こそWebサービスの基盤とスタン氏がコメント

デベロッパー向けのサンが主催するカンファレンス「SUN SUPER TECH DAYS」にて、米サン・マイクロシステムズ、マーケットデベロップメント担当バイスプレジデントのスタン・クライネン氏が基調講演を行った。サンにおけるコンピューティングの移り変わり、そして今後の取り組みについてを語る

 デベロッパー向けのサンが主催するカンファレンス「SUN SUPER TECH DAYS」にて、米サン・マイクロシステムズ、マーケットデベロップメント担当バイスプレジデントのスタン・クライネン氏が基調講演を行った。サンにおけるコンピューティングの移り変わり、そして今後の取り組みについてを語る。

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基調講演でマーケットデベロップメント担当バイスプレジデント、スタン・クライネン氏がサンの動向を語る


 これまでのネットワークコンピューティングを要約すると、初期のftpプロトコルでのやり取りから進化し、XML、JavaやJiniなどWebサービスなどの登場をたどる進化論だという。今日においては、次の波が予測できない状況だが、そのような中でも予測できるもの、できないものが混在しているため、テクノロジーを選出できることが醍醐味ともいえる。

オープン化の土壌はベンダーで共有しあうべきもの

 サンの取り組むソフトウェアビジョンには、デジタルを内蔵する機器すべてをネットワークに取り込むという軸がある。「ネットワークこそがコンピュータである」というサンのビジョンそのものが重なるコメントだ。また、つねに驚きを提供するイノベータでもありたい、と加えられる。

 サンにおいてオープンソースとの関わりはとても大きな意味を持つ。80年代にネットワークファイルシステム(NFS)が発表され、今日ではスタンダードとなっていることに誰もが頷く。オープンソース界を牽引する大きな引き金となったといってもよいだろう。また、Javaを発表した際にも業界の意表を突く大きな出来事となったことは、記憶に新しい。

 サンは20年前からオープン化を推進する数少ないベンダーであり、「適切な標準化を作り上げていくことが大きな取り組み」だという。ベンダーは、オープンな土壌を基盤とし、その上に乗っ取った形で開発を競えばよいと強調する。

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オープン化こそWebサービスの基盤と語るスタン氏


Webサービスオープン化に寄せる思い

 サンはこれまでに幾つかの挑戦を行ってきた。N1によるデータセンターへの取り組み、Webアプリケーションスイート製品「Sun ONE」におけるWebサービスへの取り組みなどである。

 オープンであり相互運用可能なのがWebサービスの特徴だという。第一に、XMLベースで記述されている、イントラネット、インターネットでアクセスが可能、標準のプロトコルを利用しているなど、すべての点においてオープン化されていることがとても重要な要素だ。

 また、今後はWebアプリケーションサーバがOSに無くてはならない存在になるともコメントされた。サンのプラットフォーム、Solaris9では先行し、Sun ONEをバンドルするという展開に出ている。

 モバイルでの取り組みとして、Java Cardが挙げられた。米国ではサンの社員が全員携帯するカードであり、一般には広く知られていないものの、すでに世界中では2億8300万ものユーザーを持つプラットフォームに成熟している。その中には、米国防総省を始めブラジルの健康保険システムなど多岐に渡る導入事例もあるほどだ。

 SPARCプロセッサについての取り組みは今後も継続するものだと語られた。「サンはシステムベンダーであり、ユーザーニーズによってシステムを提供していく。SPARCへのコミットを行っているが、現在はSPARC3までをリリースし、SPARC4を2003年の後半に発表、SPARC5は現在開発中の段階である。SPARCプロセッサは、今後もハイエンドな領域への提供をフォーカスとする」と語る。このコメントはN1構想にも関連し、多くのデータセンターで問題視される管理に割かれる多くのリソース消費統計が物語る。このような市場に対し、N1のターゲットとして強く意識されている。すでに2月10日にはブレードサーバがリリースされ、まずはポリシー管理の一元化を目指す製品展開となった。

 景気が後押しするx86によるエッジコンピューティングについては、ニーズに合わせ提供するものであり今後もその方向性に注力していくと追加された。

新たなプロジェクト展開でソフトウェアベンダーとしても貫く

 近日正式発表される幾つかのプロダクトについても語られた。その中の1つ「Project Orion」では、サンがソフトウェアをどのように展開するか、またロードマップも含めどのように提供されるかがターゲットとされているものだ。JavaやSolaris、Linuxプラットフォームなどで展開される。昨今のウイルス騒動から、新たに考案されたものの1つだろう。

 オープンソースが基となる「Project Mad Hatter」では、デスクトップにMozillaやEvolutuionなどを提供し、基本的なアプリケーションはすべてライセンス問題なく利用可能となるものだ。すでにLinuxデスクトップ構想としても発表されている。

 ネットワーク上におけるユーザーニーズの分析において「Liberty Alliance」と呼ばれるプロジェクトが展開されている。これはマイクロソフトでいうPassportに対するものであり、サンの場合にはベンダー間で利用できるようオープンな取り組みとして捉えられているものだ。

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[木田佳克,ITmedia]