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2003/02/28 22:40 更新

TECH DAYS、アップルが神奈川大学の「Xserve導入事例」を紹介
UNIXのパワーを受け継ぎBSDベースとして注目されるMacOS X Server。オープンスタンダードへ参入するアップルは、Sun Super Tech Days最終日28日のセッション内で、Xserveの導入事例を紹介した
Sun Super Tech Days、最終日の28日には「Appleトラック」にて「Xserveによるサーバシステムの構築と最新事例」と題された、Xserveの導入事例が紹介された。
セッション始めには、アップルコンピュータ、プロダクトマーケティング・鷲滝 薫氏がXserveとXserve RAIDの概要についてを語る。
鷲滝氏は最初に、MacOS X登場の背景を「これからのOSとして必須なものはオープンスタンダードであり、UNIXベースであることが決め手であった」とコメントする。そして、2月10日に発表された「The new Xserve」と銘打たれたモデルについてを語り、プロセッサクロックの向上(1.33GHz)、システムバス、メモリ(PC2700)、ディスク容量のアップ(720GB)を強調する。さらに、排気ブロアが従来モデルではつねに最高速回転であったものが、ケース内部温度で可変になったことも付け加えられた。
これらの改良により、「同程度の1Uラックマウントサーバの約4倍程度のパフォーマンスを実現している」と語る。
Xserve RAIDはコンテンツ大容量化に対しアドバンテージとなる
Xserve RAIDについても語られた。「内部パーツは完全に二重化されている」と強調され、14台のドライブが独立したチャネルを搭載することや、2.5TBまでのディスク搭載が可能、デュアル2Gbファイバーチャネルなどがコメントされた。さらに、メンテナンス性についても紹介され、電源ユニット、キャッシュメモリ、冷却モジュールの取り外しがすべてがデュアル構成であることを特徴だと語る。

また、RAID管理ツール「RAID Admin」はJava2ベースで記述されているため、MacOS X以外でも利用できるものだという。
鷲滝氏は「Xserve RAIDは、コストパフォーマンスとディスク搭載容量が要である」という。昨今ではインターネットにおけるコンテンツの容量の増加が顕著であり、ディスク大容量化へのニーズは今後も高まるものだと語る。「省スペースでありながら大容量がいっそうのポイントとなるだろう」とコメントする。
神奈川大学のNEXTSTEPからXserveへの移行事例
セッション内では、神奈川大学で導入されているXserveが紹介された。講演されたのは、学校法人神奈川大学・情報化推進部 杉崎育央氏。
神奈川大学では、「横浜キャンパス」、「湘南ひらつかキャンパス」、「中山キャンパス」の3つで構成されているという。学生、生徒、教職員を含め21167名が通われている。それぞれのキャンパスでは、クライアントにはMacOS Xを始め、Linux、Solaris、Windows 2000が混在する。
また、アクセスはActiveDirectoryで構成され、利用者管理システムで管理されており、ディスクはNASとSANでデータ統合されている形だ。しかし、平塚キャンパスは回線帯域の問題からほかのキャンパスとは統合が成されていない。
続いてXserve導入までの経緯が語られた。
1992年の段階では、サーバ導入のための条件とし、20000ユーザー/160台をこなし、GNUアプリケーションとUNIXであることが必須条件とされた。この条件に対しては、1992年12月にNetInfoサーバとしてNEXTSTEPが導入された。この運用は1999年まで続いたという。
1999年10月には、MacOS Xの先行採用を前提とするラプソディー(Rapsody)への移行を決意する。その後、2002年11月にXserveを導入するに至ったという。
この経緯を要約しポイントとなっていることは、マスターサーバが落ちた際にはクローンを用意することが重要視されており、冗長性がポイントとなっているという。また、NEXTSTEPからの移行としてMacOS X Serverという選択は自然な流れであったとも思われる。さらに、省スペースでのディスク大容量化へのニーズ、BSDベースであったことも理由だと語る。

プレゼンの中では現状のラック状態が披露された。写真から分かるようにPowerMacが6Uを占有しており、この状況では内部へのパーツアクセスが容易ではない点が強調された。
杉崎氏は、サーバの管理面についても語る。NetInfoベースで管理されるサーバ上では、「NetInfoManager」やターミナルはもちろん、GUI上でのAdmin Tools、SSHなどが利用されている。さらにMacOS X Server上で提供されるソフトウェアアップデートについても話され、「最初は心配だったが、ソフトウェアのセキュリティホールやアップデートリリースから実際に配信されるまでの間隔は満足ができるものだ」とコメントする。

現在の問題点としては、学内では従来のMacOSのイメージから、MacOS XのBSDベースであるという認識が行き渡っていない点だという。しかし、BSDベースであることを挙げると、問題なくUNIX教材としての目的も果たせるものだと語られた。
関連リンク[木田佳克,ITmedia]
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