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2003/04/03 18:14 更新


SAP、異種アプリ間を統合する「XI」アーキテクチャを発表

SAPジャパンは、異種混合のシステム環境においてアプリケーション同士を連携させるEAIアーキテクチャ「SAP XI 2.0」を発表した。

 SAPジャパンは4月3日、都内で記者発表会を行い、異種混合のシステム環境においてアプリケーション同士を連携させるEAIアーキテクチャ「SAP XI 2.0」(SAP エクスチェンジインフラストラクチャ)を発表した。同社は、これまで連携自体を主目的にしていたEAI(Enterprise Application Integration)を超え、XIがBPM(Business Process Management)の機能を提供するとして、EAI製品との違いを強調している。

 同社マーケティング本部長兼ソリューション本部長を務める玉木一郎バイスプレジデントは、「企業のIT戦略で優先順位が最も高いのはアプリケーション統合」と話す。

 XIは、バス型インフラストラクチャとして、企業の社内のデータベースやERP、CRM、レガシーシステムを統合する共通インタフェースとして機能する。さらに、ファイアフォールを越えて、得意先のEDIサーバや関連企業のOracleなどのデータベース、サプライヤーのB2Bサーバなどとの連携を実現するという。一般に、多額の費用と困難を伴うとされるアプリケーション統合向けのシステム開発投資や管理コストを低く抑え、さらに、将来の拡張にも柔軟に対応できるという。

 同アーキテクチャが主に提供するのは、モデリング環境、実行環境、監視環境の3機能。モデリングでは、社内外のシステムをまたぐシステムフローやデータ連携をデザインできる。

 データ統合をメインにしたEAIとの具体的な違いは、トランザクションのステータス管理や、再処理、ログ管理、障害復旧やアーカイブ機能など、ミドルウェア的な機能を網羅しようとしていることだという。

XIの利用シナリオ

 想定するXIの導入シナリオは、例えば、複数システム間でのマスターデータの連携や、バッチで行う処理をXIを利用することで他システムを通して展開すること、既存のマーケットプレイスとの接続、購買システムにおけるシステム間での受注トランザクションの処理の連携などとなっている。

 また、SAPのモジュール以外と各種アダプタを通じてアプリケーション統合できることも強調されている。JDBCやSOAP、Plain HTTPなどの技術的なアダプタや、Baan、Broadvision、Oracle、Siebel、JDE World、PeopleSoftといった各ベンダー向けのもの、ロゼッタネットなどの業界標準に対応するためのアダプターも提供している。

 XIはバージョン1.0が既に提供されていたが、日本語版が提供されたのは今回の2.0が初めて。

 導入企業には、米テキサスインスツルメンツがある。同社のシステムは、R/3、経費管理システム、メインフレーム、サプライチェーンシステム(i2)、PeopleSoftといった各種システムが混在しており、個々のシステム同士でインタフェースを開発するなど、プロセスとしての効率性、運用性ともに低かった。

 そこで、XIを導入することで、統合情報の集中管理を実現した。また、各アプリケーションの機能をインタフェースのコードから分離することで、プラグ&プレイを可能にするシステム環境を構築した。

 同社は、XIを採用した理由として、既存の資源を継続して活用できることや、BPMを視野に入れたインタフェース統合を行えることなどを挙げている。

[怒賀新也,ITmedia]

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