エンタープライズ:インタビュー 2003/04/16 23:06:00 更新


Interview:「ノベルは公約を果たす」とストーン副会長

BrainShare 2003の基調講演の中で、4つのソリューション群へのフォーカスをはじめとする、実にさまざまな“コミットメント”を掲げたクリス・ストーン氏。同氏に改めて、その意図するところを聞いた。

 かつてノベルを去り、そして2002年にCEOオフィス付副会長として同社に復帰したクリス・ストーン氏。同氏はBrainShare 2003の基調講演の中で、4つのソリューション群へのフォーカスをはじめとする、実にさまざまな“コミットメント”を掲げたが、それは単なる口先だけの話には終わらないと言う。多忙なスケジュールの合間を縫って、同氏にインタビューした。

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「昔は文句ばかり言っていたけれど、復帰後の今は、ちゃんと問題の解決に当たっている」というストーン氏

ZDNet BrainShare 2003では非常に多くの発表がありました。一連のアナウンスの中で、最も重要なメッセージとは何でしょうか?

ストーン 今回われわれは、NetWareの機能を、異なるOSのカーネル――Linuxでも利用できるようにすると表明しました。現在のNetWareの機能を保護しながら、他のプラットフォーム上でも同様のサービスを実現することで、顧客に選択肢を提供するのです。会長のメスマンはさらに、安全なアイデンティティ管理やZENworksに象徴されるリソース管理、安全なWebサービスといった戦略を引き続き推進することも明らかにしています。これら一連のことから言えるのは、われわれは自らの公約に責任を持ち、引き続きこれらの戦略を推進していくのだということで、これが顧客に向けた最大のメッセージです。

ZDNet Linuxへの支持という点では、既にいくつかの大手競合企業が同様の動きを見せています。

ストーン IBMやヒューレット・パッカードなど、多くのベンダーがオープンソースを支持しています。ただ、その支持は、Linuxの観点よりもむしろUNIXという観点からのものかもしれません。また、多くの企業がオープンソースを支持し、支援するのはすばらしいことですが、そうではない大手OSベンダーが1つ残っています。マイクロソフトです。

 Linux対応という面でのノベルの差別化要因としては、エンタープライズクラスのアプリケーションを備えており、それをLinux上にも展開するのだということが挙げられるでしょう。

ZDNet オープンソース支持を表明するタイミングが遅かったようにも見えますか?

ストーン ノベルでは2年前から、オープンソースコミュニティへの支持を明らかにしています。ただ、今回のニュースで大事なことは、単にオープンソースを支持するということではなく、開発のメカニズムとしてこれを受け入れているのだということです。果たして、例えばIBMがWebShpereの開発過程で同じようなことをしているかというと、そうではないと思います。

 ノベルは次のステップとして、NetWareに加えLinux上でも、ディレクトリやメッセージングプラットフォーム、分散プリントエンジンといったサービスを提供できるようにします。これまでに存在しなかったような、まさにエンタープライズクラスのスケーラブルなモデルを提供できるのです。

ZDNet 先ほど挙げたアイデンティティ管理やリソース管理、安全なWebサービスという3つの分野も競争の激しい市場ですね。

ストーン セキュアなアイデンティティ管理に関しては、ノベルは既にリーディングカンパニーとなっており、引き続きこれまでの取り組みを続けていきます。また、Webサービスについていえば、この分野で優勢な企業はいまだ存在せず、まだ誇大広告のレベルだと思います。顧客は、Webサービスというものを購入するのではなく、既存のアプリケーションやポータルを統合し、データを移行するためのサービスにお金を支払うのです。それからリソース管理の分野では、ZENworksスイートを発表しています。これを他のプラットフォームでも利用できるようにし、マイクロソフトの製品やLinuxまでもサポートできるようにしています。

ZDNet ノベルの方針はあまりに頻繁に変わるため、顧客の混乱を招いているという指摘もありますが。

ストーン 確かにそうでした。BrainShareでは毎年、異なる宣言がなされてきました。けれど、今年の戦略――セキュアなアイデンティティ管理、リソース管理、セキュアなWebサービス、それに複数のプラットフォームへの対応――という公約は、昨年と同じものです。日本の顧客の皆さんには、ノベルは、宣言したことをきっちりやっていくのだということをお伝えしたいと思います。



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[聞き手:高橋睦美,ITmedia]