エンタープライズ:ニュース 2003/04/17 15:22:00 更新


ユーザー管理をオートノミックに、日本IBMがTivoli製品を拡充

日本アイ・ビー・エムはTivoliソフトウェアの国内展開を進める。今回発表されたTivoli Identity Managerは、ユーザー情報をオートノミックに管理するための製品。Active Directoryなどのディレクトリ管理との差別化を、Tivoliでアピールする形だ

 IBMの「Tivoliソフトウェア」は、管理、マネージメント、自己修復をオンデマンドに行えるソフトの総称名。同オンデマンドを実現するためのソフトウェアをAIX、Solaris、Windows 2000 Serverをカバーしつつ、多数ラインアップする。

 4月17日、日本アイ・ビー・エムは都内で発表会を開催し、5月6日に「Tivoli Identity Manager V4.4」(以下、TIM)を出荷開始することを表明した。TIMは、企業内のユーザー管理を円滑にオートメーション化することを目的とした製品。

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日本アイ・ビー・エム、ソフトウェアグループTivoli事業部長・石原 明氏


 発表会冒頭では、ソフトウェアグループTivoli事業部長・石原 明氏が挨拶され、昨今の企業内セキュリティポリシーの統計や情報システムの課題事項などに触れた。個人情報保護法案についての重要視を強調しつつ、「個人情報の適切な保護のためには、アクセス可能な人員を的確に識別し、そのためにはアイデンティティーマネジメントが重要である」とコメントする。

 ひと口にアイデンティティマネージメントといっても多岐に渡るが、管理を行うユーザー数の規模が大きいほど適切な処理が行われなければならない。一ユーザーのアイデンティティ管理からセキュリティホールが広まってしまうことは、昨今では考えづらくない状況だ。この点に着目されているのがTIMといえる。

 TIMではWebアプリケーションベースの容易なWebアクセスを可能とするインターフェイスが搭載されており、大規模なシステムでもダイナミックなアカウント管理が可能となる。ほかのTivoliソフトウェアのテーマと同じく、システム管理面の容易さはもちろん、オンデマンド(オートノミック)に対応できることがTIMに課せられているいちばんの目的といえる。このため、ある程度のシステム規模(アイデンティティ)を持ち、今後Webサービスとの連携を視野に入れている層が対象となりうる。

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ユーザーとリソースを結ぶアイデンティティマネージメントがウリ


 石原氏によれば、「現在国内で100社ほどの企業を視野に入れ考慮しつつ、今年度は金融、製造業を中心に10社ほどの売り込みを目指す」と語る。

 さらに、TIMの優位さを次のように強調された。

  • 米国での実績

 Prudential Financialで65000ユーザー以上を管理。従来までアカウント管理に申請から利用まで5日間必要だったものが10分に短縮。

  • ディレクトリコア製品では運用レベルに対応できない

 厳密に見ればTIMはTIMサーバ、LDAPサーバ、RDBサーバといったサーバ間で構成される。しかし、ディレクトリサーバだけで構成される場合に比べ、TIMサーバのポリシーに基づくプロビジョニングなどが優位に機能するという。

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TIMで構成されるアプリケーションサーバは、ほかのJava2アプリケーションとのやり取りが容易


 発表会では、製品の簡単なデモンストレーションも行われ、Windows 2000 Serverを元にユーザーアカウントの管理がTIM上の操作で行えることが披露された。規模こそ小さいものの、Webアクセスでの管理権限譲渡や、アカウント要請、監査、プロビジョニング、レポート記録までをカバーすることが垣間見られた形だ。

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TIMのインターフェイス。もちろんWebベースであり、ほかのTivoli製品と同じく管理、マネージメント、レポート機能などが連携される


関連リンク
▼IBMソフトウェア

[木田佳克,ITmedia]