エンタープライズ:ニュース 2003/04/23 00:00:00 更新


企業アプリケーションにとって最適なプラットフォームとは?

これからのビジネスを考えたとき、ITの基盤となるアプリケーションプラットフォームは企業戦略の重要な材料になる。なぜなら、全社的な業務の効率化やデータ利用を考えたときに、あるいはWebサービスなどを利用した他業種との連係といったシーンを想定したときに、プラットフォームの持つ特性がその成否を左右するからである。企業のITプラットフォームとして最適なもの、それはどのような特性を持ったものなのだろうか?

 企業の方針を中核となる独自の戦力に絞っていくというコアコンピタンス経営が叫ばれる今日、企業ITにおけるアプリケーションプラットフォームに求められるものとは何だろうか。経理管理、受発注、在庫管理など、企業内で使用する独自アプリケーションを構築、拡張する場合に、この時代だからこそ、拡張や構築に際して特に重要となる条件がある。これらの企業アプリケーションが独自のシステムとして構築されてしまい、社内においても企業間接続においても離れ小島となってしまうことのないよう、ビジネスプロセスに容易に組み込むことができるような、接続性を確保する仕組みをアプリケーションプラットフォーム自身が備えているということがその条件と言えるだろう。さらにコアコンピタンスという点で言えば、自社の得意とする分野以外を補う目的から、今後ますます他企業との協業が増えてくるに違いない。そうしたときに、容易に他社のシステムと接続できるような仕組みが必須となるだろう。さらには、企業内にすでにあるシステム資産の統合という観点においても、プラットフォーム自身が容易かつセキュアな接続の仕組みを持つというのは重要である。

 企業アプリケーションとその接続という点で近年注目されているのが、Webサービスである。Webサービスを利用することで、異なるシステム同士機種間の接続もスムーズに行うことが期待でき、将来に渡っての拡張性も期待できる。また、従来からのC/Sシステムの利点とWebシステムの利点を共に活用することができ、柔軟なシステム構築が行えるからだ。

 従来は、こうしたテクノロジーに関する知識は、社内専門家(または担当者)が知っていればよく、重役クラスはその結果についてのレポートを受け取る程度であった。しかし、冒頭に述べたように、Webサービスによって企業間でのIT連携が当たり前となりつつあるため、提携企業とIT接続するかどうかを判断する企業トップ自身が、どのようなテクノロジーがあり、どういう接続が望ましいかを理解しておく必要があるのではなかろうか。つまり、企業トップにはこれらの知識が今後ますます必要となる。IT担当者からのレポートを鵜呑みにしているだけでは済まされなくなるということだ。

 同様に、こうしたテクノロジーに関する知識は、社内に開発部隊を持たず、アウトソーシングにより開発、運用を行う企業でも必要とされる。提案されたソリューションが、本当に自社にとって最適なものなのかどうか、初期投資やランニングコストは、本当に見合ったものなのか、テクノロジーに関する知識なしでは判断できないだろう。

 企業内のシステムを担当する人々にとっては、システムの基盤となるプラットフォームの選択は重要なポイントとなる。これからのシステム構築においてWebサービスを重要視しない人はまずいないだろう。Webサービスを中核に据えたアプリケーションプラットフォームを選択するのは、自然の流れとも言える。しかし開発担当者にとっては、次に重要な選択を行わなければならない。それは、開発環境の選択である。開発環境に対しては、システム構築に欠かせないRDBMS上のSQLストアドプロシージャとの密接な連携や、テスト環境としての機能も求められる。技術面や運用面でいかに優れたアプリケーションプラットフォームであっても、開発環境が悪ければ、開発コストがかさんだり、不具合が多く残ったりして、できあがったシステムが使い物にならないということも起こりえるからだ。その意味では、開発環境を含め、システム構築のやりやすさという点も、アプリケーションプラットフォームの選択において重要となるだろう。さらに、従来のソフトウェア資産をいかに活用できるかという点も見逃せない。いままで苦労して構築したWebシステムやC/Sシステムと決別しなければならないとしたら、せっかくのWebサービスの利点も消し飛んでしまう。

 そのほかWebサービスを中核に据えたシステム構築を行うに当たっては、システム構築のやりやすさだけでなく、安定性、信頼性という基本要素、つまりプラットフォームとしての堅牢性が重要であることは言うまでもない。実はこの部分が誰にとっても最も重要視すべきポイントとなるだろう。セキュリティや可用性といった、システムが稼動してからの問題にまで関わってくる部分だからだ。

 もちろんマイクロソフトもWebサービスへの対応を強力に推し進めており、そのプラットフォームとしてWindows Server 2003および.NET Frameworkを、また開発環境としてVisual Studio .NET 2003といった製品を準備している。Windows Server 2003では、Webサービスの中核となるIIS 6.0を搭載し、.NET Frameworkという共通基盤を準備することで、Webサービスへの対応としてマイクロソフトの回答を示している。さらに、Visual Studio .NET 2003(図1)では、.NET Framework対応はもとより、従来のソフトウェア資産を生かしたWebサービス対応や、SQL Serverとの連携など、開発効率という点でも進化を見せている。また、システム間の結合を考えた際に、その接続形態はアプリケーションの実行時に常に接続されている密なものと、アプリケーション実行時には未接続でも動作し、後でまとめてトランザクション処理を行う疎である接続形態のものに分類できるが、Windows Server 2003を中心としたプラットフォーム設計では、従来からの密な接続だけでなく、MSMQ(Microsoft Message Queue)などによる疎の結合も提案されている。

Visual Studio .NET 2003

図2■Visual Studio .NET 2003は.NET Framework対応というだけでなく、SQL Serverとの連携など、システム全体の構築を効率的にするための工夫が凝らされている。


 5月15日より開催されるthe Microsoft Conference + expo 2003(以下、MSC+E 2003)では、これらの製品を使用したWebサービス対応のシステム構築の開発手法、あるいはこれらシステムの運用方法について解説される予定だ。「Web サービスで進化する C/S アプリケーション」と題するセッションでは、従来のC/Sの利点であるクライアントの持つパワーと、サーバ側の集中管理の手法を、Webサービスと結びつけることで、過去の資産を活用した上での拡張や、異なるプラットフォームの連携手法について解説される。また、「既存アプリケーション資産の徹底活用」と題するセッションも用意され、いかに従来のソフトウェア資産を生かしてWebサービスに移行するか話される。さらに、「IIS 6.0 : 止まらないセキュア&ハイ パフォーマンス Web サーバー」といったシステム構築技法から、製品の解説まで多岐にわたるものが予定されている。

 もちろん、開発環境についても詳しいセッションが予定されている。マイクロソフトの提案するWebサービス時代の開発ツールは、Visual Studio .NET 2003である。これらの機能についてはかなり知られていると思うが、Windows Server 2003との連携などについては、まだ未知の部分もあるに違いない。MSC+E 2003では、いくつかのセッションにおいて、いかにWebサービスを簡単に開発できるか、またWindows Server 2003の機能をいかに引き出すことができるのかなどが示される予定だ。具体的には、「いま求められる Web アプリケーション開発スタイル」と題して、Windows Server 2003とVisual Studio .NET 2003の組み合わせでいかに容易にWebサービスを利用したアプリケーションを構築できるかを中心に、データベースや中間コンポーネントを含めた活用方法について解説される。「Windows Server 2003 & Visual Studio .NET 2003 : アプリケーション サーバーの実力」と題したセッションでは、アプリケーションサーバとしてのWindows Server 2003という切り口から、その機能を最大限に活用するVisual Studio .NET 2003についての解説が予定されている。

 Webサービスを利用したシステム構築を行うためには、OSやWebサーバ、フレームワーク、さらには開発環境まで、選択しなければならないものは数多い。フレームワークとしてJ2EEか.NET Frameworkか、開発環境としてC++BuilderかVisual Studio .NETか、言語はJavaにするかC#にするかなど、どれを選ぶかだけでも相当の考慮時間が必要なはずだ。どのあたりが有利なのか、あるいは不利なのかといった点を洗い出すという意味では、今回のMSC+E 2003が有用な情報を与えてくれるに違いない。

[宮内さとる,ITmedia]



Special

- PR -

Special

- PR -