| エンタープライズ:ニュース | 2003/05/14 15:18:00 更新 |

ARCserve Backup v9 for Linux発表を機に、CAがアジア圏の強化をアピール
Windows版でシェアを持つARCserve Backupが、完全日本語対応のLinux版として2003年6月に出荷される。CA(コンピュータ・アソシエイツ)からは、これを機に日本でのLinux版リリースを強化していくとコメントされた
コンピュータ・アソシエイツ(以下、CA)は、アジア・太平洋圏での展開を強化すべく、米本社より上級副社長・スティーブン・リチャーズ氏が来日され、会見が行われた。冒頭で、代表取締役社長兼日本韓国統括ゼネラルマネージャ・三ッ森隆司 氏からは、「CAでは、来日しビジョンを語るのは初めてのこと。日本での本格的なLinux市場参入の意気込みを感じ取っていただきたい」とコメントされた。
続けてリチャーズ氏からは、「日本での本格的な展開を機に来日することにした。アジア・太平洋圏は将来性を担う存在だ」と強調された。
現在、同社でのシェア内訳は、アジア圏が全体の10〜12%。今後は、これを15〜20%へと拡大していきたいとコメントする。このためには、日本で50%程度の成長無くしては実現できないだろう、と付け加えられた。
リチャーズ氏からは、アジア・太平洋圏に向けての展開として5つのポイントが挙げられた。「カスタマの優先を追求」、「完全な日本語版対応」、「中小企業対応」、「Linuxへの対応」、「ブランドイメージの確立」だ。
カスタマへの対応としては、改めてのステップ作りとして社内に対応チームを組織されており、ユーザーからの声を反映するよう体制強化しているという。日本語対応については、ARCserve発表を機に、プログラムやマニュアルも含め完全な日本語化を高める姿勢だ。Linuxへのコミットについては、アジア圏で特に重視すべく点だと言われ、より低コストで実現するニーズに応えるものだとコメントする。最後のブランドイメージの確立では、従来までWindows市場でBackOfficeにコミットしてきたものを、今後はLinux市場においても知られた存在になるよう活動していくという。
CA、BrightStorブランドユニット・オーナー、関 信彦氏からは、今回発表された製品についての詳細が語られた。
CAには数多くの製品がラインアップされているが、あえてBrightStorブランドでLinux版が先行する理由についても触れられた。同社には、エンタープライズマネージメントの「Unicenter」、セキュリティの「eTrust」、ストレージの「BrightStor」、ポータル&ビジネスインテグレーションの「CleverPath」、アプリケーションライフサイクルマネージメントの「AllFusion」、データマネージメント&アプリケーションデベロップの「Jasmine」「Advantage」という6つのブランドラインが揃っている。
その中でもBrightStorにおいては、日本の開発者が深く関与しており、ワールドワイドのリリース権限にも影響を与えているという。このような背景からWindows版で確立されているBrightStorが先行リリースとしてこぎ着けたのだろう。
今回発表されたのは「BrightStor ARCserve Backup v9 for Linux」(以下、ARCserve9 for Linux)。前身となるv7では19万円という価格設定だったが、今回は9,8000円に引き下げられ同時に機能強化が行われている。出荷時期は6月を予定。
ARCserve9 for Linuxは、BrightStorブランドの中でもデータアバイラビリティにフォーカスされた製品だ。Windows版とほぼ共通のインターフェイスを実装し、Javaベースの管理コンソールが用意されている。
インストールの容易さ、コマンドラインでの利用、集中管理のためのコンソールを搭載など、エンタープライズ向けの機能がアピールされているのも特徴とされている。また、インフラ面への配慮も機能強化に含まれており、複数NICのサポートは業務利用のLANとは別に、トラフィックを占有しバックアップ時間の短縮が期待できる専用NIC利用がサポートされた。
バックアップの際には、eTrust Antivirusで培われた技術が生かされ、作業中のリアルタイムスキャンが実装されている。またRAWデバイスのバックアップにも対応され、高速性を重視した選択肢も用意される。
新たに搭載された機能として、Apacheの設定ファイルおよびWebコンテンツ、MySQLデータベースのホットバックアップも挙げられる。これらは、昨今Linuxが基幹利用にもフォーカスされ始めたことがあり、単なるファイルバックアップから一歩進めた機能搭載だ。ほかにも、オラクルのリカバリマネージャ(RMAN)サポートも機能強化されている。
また、NASへの対応としてプロトコルNDMPもサポートされた。これらの機能はアドオン可能なオプション製品として用意される。そのほか、従来まで幾つかのエディションが用意されていたが、今回のバージョンを機に、1パッケージへ統合されたのも変化の1つだ。
関連リンク[木田佳克,ITmedia]
