エンタープライズ:ケーススタディ 2003/05/14 19:38:00 更新


Case Study:i2導入で典型的な非効率性を打破する日立RAIDシステム事業部

日立製作所のRAIDシステム事業部は、i2のサプライチェーンマネジメントを導入した。生産部門と販売部門が正反対の論理を展開するという典型的な落とし穴を避け、棚卸資産回転率の大幅な改善を目指す。

 日立製作所は5月13日、ラスベガスで開催されているi2テクノロジーズの年次カンファレンス「i2 PLANET 2003」で、同社RAIDシステム事業部が導入したi2のサプライチェーンマネジメント(SCM)構築プロジェクトを紹介した。生産部門と販売部門が正反対の論理を展開するという、SCMが陥る典型的な落とし穴を避け、全世界で統合した調達システムを展開することで、棚卸資産回転率の大幅な改善を目指すという。

 講演した同社の國正興一CIOは、「生産部門と販売部門は同じビジネスルールに従って仕事をしなくてはならない」と話す。

 システム導入以前の同事業部では、販売部門は機会ロスを防ぐために在庫水準を多めに維持することを主張した。一方、生産部門は過剰在庫を避けるために、販売よりは少なめの在庫水準を設定した。

 両部門がそれぞれ異なる考え方で計画を最適化したため、「市場が拡大しているときに生産が追いつかない」、あるいは、「市場が縮小しているときに過剰な在庫を抱え込む」ことになったという。

全体最適を目指すべき

 國正氏は「部分最適を集めても全体最適にはならない」と加えた。

 小田原、米オクラホマ州、仏オルレアン市に工場を持つ同社はこうした事情から、米日立データシステムズに需要予測システムのDemand Planner、RAIDシステム事業部はSupply Chain Planner(SCP)を導入し、需給計画の最適化に乗り出した。在庫管理を製造サイドで一元化することに踏み切ったという。

 DPおよびSCPの導入により、従来月次で行っていた需要予測や生産計画の立案を週次化し、日米欧の生産拠点のコントロール、在庫削減を図る。

 また、納期回答システムとしてDemand Fulfillmentを導入した。自社が設定する顧客ランクや、各ストックポイントの在庫水準を最適化した上で、顧客に在庫を割り当て、すばやい納期回答を提示することにより、顧客満足度の向上を図る。

 國正氏は最後に、「来年のPLANETでは、DOE(Distributed Order Execution)の採用を報告したい」と話した。

[怒賀新也,ITmedia]