エンタープライズ:ケーススタディ 2003/05/15 18:29:00 更新


Case Study:欧州4拠点統合のエアバス、i2 Six導入でマスターデータ管理もスムーズに

i2 PLANET 2003で、最も注目されているケーススタディは航空機メーカーのエアバスへのi2導入事例だ。同社はi2の最新アプリケーションであるi2 Sixを初めて導入した企業になった。

 米ラスベガスで開催されているi2 PLANET 2003で、最も注目されているケーススタディは、5月13日に発表された航空機メーカーのエアバスへのi2導入事例だ。ポイントは、同社はもともとフランス、ドイツ、英国、スペインの4拠点の企業連合であったことで、2001年4月に1つの企業として統合された。もう1つは、i2の最新アプリケーションであるi2 Sixを初めて導入した企業になったこと。

 同社は、i2のSRM(Supplier Relationship Management)とSCMを結合したことで、購買に際してのサプライヤーとのインタフェースを1つに絞るという方針を維持できたという。

 さらに、複数の拠点を統合した場合に起こる問題を、i2 Sixが持つXMLベースの新機能がカバーした点に注目したい。同社の購買戦略およびサービス担当の上級副社長、ジェフ・ポール氏に話を聞いた。

air.jpg
過去の経験からシステム導入を慎重に進めたというポール氏

 エアバスが開発したi2ベースのプロジェクト「Sup@irWorld」は、エアバスとサプライヤー間の業務効率性を高めるためのWebベースの統合ツールとなっている。

「4カ国の企業を1つに統合する上で、各社がそれぞれ持っていたレガシーのERPシステムのデータを、いかに統合した形でデータベースに投入するかがカギになった」(ジェフ・ポール氏)

 同社は、フランス、ドイツ、英国、スペインの拠点ごとに取引していたサプライヤーを集め、フォーキャスト、購買オーダー、前倒し出荷票などのデータをシステム的に統合する必要があった。

 しかし、4つのシステムに分かれていたデータを一元的に扱うためには、全システムの「共通言語」とでも言うべきマスターデータを構築する必要があったという。多くのケースでは、同じ製品に対して4システムが異なるIDを割り当てていたといった問題があるため、サプライチェーン構築プロジェクトにおいて、マスターデータの整備は、非常に重要かつ、苦労を強いられる作業であったという。

 ここで、力を発揮したのが、i2 Sixで新たに加えられたWebサービスベースの機能である「Supply Chain Operating Service(SCOS)」だ。

 エアバスでも、同じ会社の会社コードがもともとの拠点ごとに異なるなどの問題があった。しかし、SCOSを経由することで、ツールによるGUIベースのマスターデータ設定に基づき、各データのIDやスキーマは、マスターデータと互換性のある形に書き換えられる。ユーザーからすれば、マスターデータ設定という膨大な作業負担を軽減することができる。

関連リンク
▼エアバス(日本)
▼i2テクノロジーズ

[怒賀新也,ITmedia]