エンタープライズ:コラム 2003/05/15 20:48:00 更新


Linux Column:Linux PDAはどうなのだろう?

Windows CE系は、Pocket PC 2002使用のマシンが遅くて使い物にならなかったからPDA購入候補リストから除外した。では、Linux採用のPDAはどうなのだろう?現状、シャープのZaurusがLinuxを採用しているので、とりあえずLinux Zaurusにフォーカスする。

 先週、PDAを購入した。SONYのCLIE SJ33という奴だ。Palm OS 4.1を搭載し、ロングバッテリーで約17日間使える。キーボードなどは付いていないが、実はPalm機は3台目なのでGraffitiでの入力はお手の物だ。逆にハードウェアキーボードがない分、専用のGraffiti入力エリアがついているので、こっちの方が楽だったりする。新しいタイプはイチイチGraffitiを呼び出さないといけないし、その分画面が狭くなってしまうからだ。

 日常の仕事のスケジュール管理はネオジャパンの「desknet's」をLinuxにインストールして使っている。普段はWebブラウザから使うのだが、外出先で見れないので不便に思っていた。実は前のPalm機ではスケジュールをdesknet'sとの間で同期するように設定していたのだが、デスクトップマシンのシステム環境を再構築する際に環境を戻すのが億劫で戻していなかったのだ。そこで心機一転新しいPDAを買えば設定もやるだろう、というわけで購入に踏み切ったわけだ。

 さすがに3台目ともなると、手順も大体分かっているのでサクサクとPCとの接続設定も済ませて、desknet'sとの同期用ソフトウェアでシンクロさせてみる。エラーでできない。どうしてもできない。逆立ちしてもできない。やむを得ずサポートに連絡することに。こういうことでサポートを受けるというのは随分と久々の気がする。待たされるかと思ったが数時間という素早い対応で、サーバとクライアントのモジュールバージョンの不整合が問題ではないかとの回答がメールできた。確かにサーバ側モジュールを最新版にしたら解消。素晴らしいサポート対応でした。けど、エラー番号だけじゃなくて、簡単なメッセージぐらい出してほしい、と要望は要望として挙げておこう(汗)。

 そんなこんなで、かなり快適に使えるようになった。おまけでついているゲームも面白いし、適当にソフトを入れて遊んでみることにしよう。

 さて、前置きが長くなった。ここまでやるかはともかく、似たような感じでPalmを使っている人は多いのではないだろうか。購入前にはWindows CE系も若干考慮に入れたのだが、以前お借りして使用したPocket PC 2002使用のマシンが、あまりにも遅くて使い物にならなかったから最初から候補リストから除外した。それに高すぎる。性能面に対してのコストパフォーマンスが悪すぎて、Palmに慣れた人間には乗り換えの対象にはならないだろう。

 では、Linux採用のPDAはどうなのだろう?現状、シャープのZaurusがLinuxを採用しているので、とりあえずLinux Zaurusにフォーカスする。いくつかのモデルが出てきているので選択肢も増えた感じだ。しかし残念ながら、こちらも色々とインターネットで調べて使っている人の意見を見たり、自分で触ってみたりするとなんとなく動作が遅い。バッテリーの持ちもあまりよくないようで、面倒臭がり屋の私には合わなさそうだった。また、良さそうなモデルは値段が高くて、ちょっと気軽に買ってみようと思えない感じだ。Linux採用だから色々といじれそうだ、という魅力は(かなり!)あったものの、今回の購入の本来の目的であるdesknet'sとのスケジュール共有ができないので、私個人としては今回は残念ながら購入は見送った。

 そもそも、「Linuxだからいじれそう」というのは非常にニッチな市場での購買動機にしか過ぎない。本来のPDAとしての価値は、OSとしての機能・性能とアプリケーションの使い勝手、そしてハードの作りとのバランスだろう。Linux Zaurusは、まだ出てきたばかりでもあり、熟成させていくには今しばらく時間が必要だろうが、以前のZaurusの完成度を考えれば、きっとよいものが出来上がっていくに違いない。

 マルチメディア化にネットワーク対応と、PDAに対する要求は肥大化する一方だが、どのような切り口で答えを出してくるのか、大変楽しみだ。是非、これは欲しい、さすがLinuxを使っているだけはある、と思わせるような、そんな製品が出てくるのを楽しみにしたい。また、それを皮切りにして、様々なLinuxを組み込んだ情報系端末が出てくることを楽しみにしたい。実際、我々の窺い知れないところで、ネット家電を中心にしてLinuxの組み込みは少しずつ進んでいるようだ。

 けど、「窺い知れない」というのはあまりオープンソース的ではないと思う。ぜひ「Linux入ってる」マークでも作って、裏側にでも貼っておいてくれるといいのではないだろうか。そんなくだらないことも考えつつ、今後の動きに大きく期待なのである。来週にはLinuxWorldが開催されるが、組み込みLinux関連の講演などもあるので、その辺りにも注目してみたい。

[宮原 徹,びぎねっと]