エンタープライズ:ニュース 2003/05/16 22:51:00 更新


.NET Alertsをどのように利用するか?

MSCE 2003 ユーザー事例のセッションから、東京三菱銀行による.NET Alertsを利用したインターネットビジネスの展開について。金融業界ならではのリアルタイムな情報伝達に、.NET Alertsは有効だという。

 Windows MessengerとMSN Messenger。どちらもマイクロソフトが提供しているインスタントメッセージング(IM)サービスである。リアルタイムコミュニケーションのためのツールとして、若年層を中心にユーザーの広まりを見せている。このMessengerは、チャット機能のほかにもう1つ重要な機能を持っている。それが、3月19日から正式にサービス開始となった「Microsoft .NET Alerts」だ。

 .NET Alertsは、Messengerクライアントを利用した情報のポップアップ表示サービス。あらかじめ登録しておいたサービスプロバイダからの情報が、リアルタイムにユーザーのデスクトップ上に届けられるというものだ。

 東京三菱銀行では、3月19日から同行の顧客向けに「東京三菱クイックアラート」としてこのサービスを開始。その内容について、東京三菱銀行 IT事業部 開発グループ次長の柏木英一氏が説明した。

柏木英一氏

東京三菱銀行 IT事業部 開発グループ次長の柏木英一氏


 現在同行が「東京三菱クイックアラート」で提供しているサービス内容は次の4つ。

  • 外国為替相場情報(米ドル/ユーロ/オーストラリアドル/ニュージーランドドル/イギリスポンド/スイスフラン)、
  • 投資信託基準価額速報(東京三菱日本株アクティブオープン/東京三菱インデックス225オープン/東京三菱トピックスオープン)
  • マーケットコメント(三菱証券のアナリストによるマーケット動向や市況レポートアップデート情報)
  • その他(月末の振り込み期限確認ポップアップなど)

ポップアップサービスの内容

提供情報は、外国為替相場情報、アナリストによるマーケットコメントのアップデート情報、フリーアラートなど


 これを、同社の法人向けインターネットバンキングサービスである「東京三菱BizStaion」の顧客を対象に無料で行っている。柏木氏によれば、現時点で契約者数は約2万社ということで、これは法人顧客の総数から鑑みるとかなりの数字だという。この顧客層を対象に選んだ理由としては、外為関連のニーズがある、アーリーアダプターとして先進技術に興味を持っている、という観点で決定された。国内ではまだ広まっていないが、IMの金融業務への活用は昨年あたりから米国で行われるようになってきており、フォレスターリサーチの調査によれば、によるとオンラインユーザーの44%がIMを利用してる。東京三菱銀行としては、早くからWebサービスにも注目してきており、この技術をビジネスに利用したいと考え、今回のNET Alertsの採用に至ったという。

 .NET Alertを選択した理由については、クライアントがWindows XPに標準装備されている、配信はマイクロソフトのインフラを利用するため自前で構築をするよりはるかに安価で提供が可能とった点を重視。結果的に、テスト期間を含めて約3カ月でサービスインが可能となった(柏木氏)。

 顧客の反応はどうなのだろう。また、既存の電子バンキングとはどう違うのだろう。これについて柏木氏は、「処理時間の短縮や来店が不要となった点が評価された。従来との根本的な違いは、アカウントさえあれば外出先や地方など複数場所での利用が可能」と回答している。顧客の利便性向上はもとより、同行の事務処理の効率化までもができるという点で、非常に有効なソリューションだという。

 柏木氏は今後の展開として、米カード会社によるカード情報の残高・支払い通知サービスや、欧州の金融機関が行っている顧客所有の株価のアラートなどを例に挙げ、メニューと対象顧客の拡大を図っていくという。

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[柿沼雄一郎,ITmedia]