エンタープライズ:ニュース 2003/05/22 23:06:00 更新


「ネットワークインフラはIP/MPLSベースに」とジュニパーのシンドゥCTO

米ジュニパー・ネットワークスの創業者であり、副会長兼CTOを務めるブラディーブ・シンドゥ氏が来日し、同社の変わらぬ「サービスプロバイダーへのフォーカス」について語った。

「ビジョンは単純だ。ネットワークはIP/MPLSベースのインフラに統合され、その上であらゆるコミュニケーションがなされるようになるだろう」――米ジュニパー・ネットワークスの創業者であり、副会長兼CTO(最高技術責任者)を務めるブラディーブ・シンドゥ氏は、今後のネットワークのあり方についてこのように語った。

CTO

久しぶりの来日となったシンドゥ氏


 ジュニパーが創業したのは今をさかのぼること7年余り前のことだが、同社はその当時より、サービスプロバイダー市場とコアネットワークに焦点を絞って製品を展開してきた。1998年にリリースされた最初の製品「M40」は、専用ASICとアーキテクチャによって、シスコシステムズをはじめとする競合他社を上回る高いパフォーマンスと拡張性、機能を示したものだ。

 その後同社は、Mシリーズの拡張を図るとともに、製品ラインナップの拡大やユニスフィア・ネットワークスの買収を通じて、エッジやアクセスといったコア以外の領域にも進出してきた。一方コアネットワーク向けには、新たなハイエンドプラットフォーム「Tシリーズ」を投入し、いっそう高い処理能力を提供している。

 さらに同社は米国で、サービス事業者を対象に、無線LANを利用したホットスポット構築を支援するパッケージ製品をリリースする方針を表明している。これは、「加入者を収容するEシリーズ(ERXシリーズ)に相当するもので、ユーザーが簡単にサービスを見つけ出し、認証を行ったうえでアクセスし、しかも迅速に支払いを行えるよう支援するもの」(シンドゥ氏)という。

 ホットスポット構築パッケージも含めた一連の動きは、サービスプロバイダーに注力するという方針で一貫したものだ。「エンタープライズ向け製品を軸にし、それにちょっと機能を加えてサービスプロバイダー向けに仕立て上げたような他社とは異なり、ジュニパーは常にサービスプロバイダーの要求にフォーカスしてきた。それが、他社を凌駕するパフォーマンスや拡張性につながっている。景気が思わしくない現在、サービスプロバイダーは、従来のTDMやATMベースのネットワークから、IP/MPLSをベースとした1つのコアネットワークへの統合を迫られているが、そこで鍵を握るのが、信頼性や拡張性だ」(シンドゥ氏)。

 この結果、同社の機器は2003年初頭までに、世界45カ国、約650社で採用されるに至った。出荷台数は1万5000台、額にして10億ドル近くに上るという。

 ただ、一時期の過剰投資もあいまって、サービスプロバイダー市場はいまだに低迷している。その上、カスピアン・ネットワークスやプロケット・ネットワークスといった米国の新興企業に加え、ファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)といった中国発の通信機器メーカーも急速に勢いを増しており、シスコやジュニパーといった企業にとって、予断は許されない状況だ。

 シンドゥ氏はしかし、IP/MPLSベースのインフラ構築において、ジュニパーの優位は揺るがないとする。「高いキャパシティを備えた統合コアネットワークと、サービスを可能にするエッジが必要であり、ジュニパーはその両方を持っている。これにより、さまざまなトラフィックの収束とサービスの実現を容易にする」(同氏)。合わせて、VPLSやMPLSシグナリング、グレースフル・リスタートといったさまざまな技術に、標準をベースに取り組んでいくとした。

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[高橋睦美,ITmedia]