エンタープライズ:コラム 2003/05/28 16:30:00 更新


Linux Column:LinuxWorldにて思う

先週はLinuxWorldだった。いつもと違い、今回は完全に一参加者という立場で見ることが出来たので、そんな目で見た雑感をつらつらと書き連ねてみたいと思う。

 さて、先週はLinuxWorldだった。いつもと違い、今回は完全に一参加者という立場で見ることが出来たので、そんな目で見た雑感をつらつらと書き連ねてみたいと思う。

 初日は基調講演を聴くために朝から会場へ。初めてりんかい線を使ったのだが、ガラガラだ。意外と知られていないのかもしれないが、ビッグサイト行きにはかなり楽になった気がする。ビッグサイトには沢山の人が流れていくが、ほとんどの人は東ホールの方へ。そう、ビジネスショウだ。まだまだ集客力はあるみたいです。

 基調講演は経済産業省の久米氏のお話。全体的によくまとめてあって、「オープンソースって何?」という人にも現在の流れは分かりやすかったのではないかと思う。

 課題として「人材不足」があげられていたが、これは私も同意見。そして、様々な企業がLinux市場に参入することで中期的には人材不足は解消されるだろうということだが、個人的にはやや楽観主義に過ぎると感じた。高等教育レベルでのコンピュータ教育の不足も指摘されていたが、そちらは文部科学省の管轄だから、あまり突っ込んだ話をできなかったのだろうか。

 全体的に政府・省庁から見た時にオープンソースという動きがどのように見えているのか、ということに主眼を置いた内容で、具体的に政策としてどうする、という話がほとんど聞けなかったのが残念。具体的にまとまっていない話をオープンな場所でするのも難しかったのだろう、と納得はできたので不満はないのだが、そういう話を聞ける機会も欲しいところだ。

 さて、展示会場に目を向けてみよう。以前に比べると、ブース1つだけといった中小規模の企業の出展が目立って減っているのが感じられた。それでも大手ベンダーのブース内にパートナー企業と言う事で出展しているので、見られるもの自体はそれほど大きく変わってはいないのだが。また、展示されているものも、以前ならば単品のテクノロジー製品だったものが、徐々にシステムソリューションのパッケージ製品が多くなり、Linuxもかなり業務寄りになってきたという印象を受けた。

 それにしても、空きスペースがラウンジとなっていたのだが、ここがオープンソースコミュニティ向けのスペースだったら、と思うことしきり。コミュニティの現状が万全というわけではないにしても、このようなイベントに活動の場が与えられてもいいのではないだろうか。昨年までのスポンサーがつかなくなったことで、実現しなかったようだが、ではほかのスポンサーはそれで良しとしていたのだろうか。ビジネスとコミュニティの距離感みたいなものが、少し測りにくくなってしまった気がする。

 やはり会場の随所で、SCOの問題について情報が飛び交っていた。表立ったアピールはなかったものの、及ぼす心理的な影響は小さくはなかったようだ。私も何人かと話をしたが、否定的な見解が多かった。この件については今回はまとめきれないので、次回に取り上げようと思う。

 初日の夜は自分で企画したオープンソースパーティーで盛り上がる。当初50人程度しか集まらないかと思いきや、ふたを開けてみたら100人以上集まる熱気ある会になった。まだまだ、オープンソースは元気です。元気すぎて、次の日はダウン。

 3日目はじっくりと会場を見て廻る。朝から来場者が多いのがこれまでになかった傾向か。雰囲気的にはビジネスショウとかけもち、という風情の人が多かったのだが、それらの人たちはLinuxをどのように見たのだろうか。

 そんなこんなで3日間の会期はあっという間に過ぎ去った。こういう場に立ち会うと、やはりLinuxの世界は日々変化しているのだな、ということを感じる。嬉しくもあり、また寂しくもあり。色々なセミナーで「Linuxは既存のUNIXをリプレースして堅調に延びていく」という予測が引用されていたが、それはそれとしてもっとエポックメーキングな何かを期待して、また色々な場所を飛び回っていこう。次は9月に新宿で。

[宮原 徹,びぎねっと]