エンタープライズ:ニュース | 2003/05/28 21:16:00 更新 |
WebSphereの待望なるiモード対応、会見ではIBM構想クライアントの進化形も披露
WebSphere戦略発表に合わせ、IBMにおけるリッチクライアント構想が披露された。シンクライアントでありながらVBライクなアプリケーションが提供される同社の意向とは。
「IBM Software World 2003」開催の2日目、カンファレンスと合わせIBMソフトウェアブランド「WebSphere」の戦略発表が行われた。
日本アイ・ビー・エム、ソフトウェア事業WebSphere事業部長・山下昌夫 氏からは、まず冒頭でワールドワイドな統計でBEAシステムズからの首位を奪ったことが触れられ(関連記事)、ポータル、インテグレーションの領域でも業界をけん引していると強調された。WebSphere事業とし、国内では30%、ワールドワイドでは14%の売り上げ増を記録しているという。
パートナー展開と技術者支援に注力
合わせて最近の動向として紹介されたのは、日立情報との協業に代表されるビジネスパートナーとの戦略強化、そして技術者支援の一環とする5月12日にリリースされた「WebSphereアドバイザー」なるWebSphere認定技術者制度の設立、先ごろ発表されたばかりのデベロッパースイートパッケージ「developerWorks Toolbox Subscription」(関連記事)の登場だ。
認定技術者試験の「WebSphereアドバイザー」は、「IBM Software World 2003」開催中の29日までは、会場で無料受験が行われる(関連リンク)。28日時点、列になるほどの盛況さだ。今年度は、1000名程度を目指す認定制度だという。
WEA 4.3でWebSphereは国内携帯電話からのアクセスに対応
会見内では、新製品となる「WebSphere Everyplace Access for Multiplatforms V4.3」(以下、WEA)についても紹介された(関連リンク)。
山下 氏からは、「日本国内における機能拡張は後手に回りがちだが、今回のバージョンではiモードなどの携帯電話からWebSphereへのアクセスが可能になった」と語る。WEAでは、オフライン・ファームと呼ぶ機能搭載が採用されており、iモードと同様に通信時にのみデータ転送が行われる。これにより通信費を1/3程度にまで抑えられるという。さらにアクセス可能な対応デバイスとしてサポートされたPocket PCを始め、PalmOS、Symbian、iモード、KDDI Brew、Linuxなどがトピックとなる。
IBMが構想するリッチクライアントの進化形
会見では、今後のIBM戦略を垣間見るWebSphereの枠を超える発表も行われた。IBMのWebアプリケーション戦略ともいえる、今後を期待させる興味深い試みだ。
昨今のWebサービス展開から感じ取られる点とし、山下氏は、いまだにVisualBasic(以下、VB)に代表されるクライアントアプリケーションの根強い人気、そしてWebブラウザ上で展開されるアプリケーションのインターフェイスがVBの域を超えていない点についてを指摘する。
このような背景からの分析と見解とし、アプリケーションはサーバで管理すべきものであり、「クライアント側はシンクライアントでありながら、リッチなインターフェイスが望まれている」とコメントする。
発表された「プロダクティビティー・コンポーネント」と題されたIBMの構想では、ブラウザのみでオフィス文書の編集が可能となり、クライアントからの情報がサーバへput可能となるよう目指されているものだ。会見内ではデモが行われ(下写真)、VisualBasicからのアプリケーション移行ツールと合わせ、ブラウザ上で実現されるリッチアプリケーション例が披露された。
なお、このVBからの移行ツールは、同社大和研究所で開発されているものであり、特に製品としての展開は未定だという。ユーザー支援の一環として利用されるものだ。
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[木田佳克,ITmedia]