エンタープライズ:ニュース 2003/05/30 20:35:00 更新


「ネットワーク上のあらゆるものを可視化する」、フルークがOptiViewを拡充

フルークは、「OptiView コンソール」の新バージョンやWAN回線用のアナライザ「OptiView WANアナライザー」をリリースし、ネットワーク解析製品群の充実を図っている。

 フルークは、ネットワーク全体の稼動状況を一元的に監視・把握する「OptiView コンソール」の新バージョンをリリースし、5月19日より販売を開始した。合わせてWAN回線用のアナライザ「OptiView WANアナライザー」を製品ラインナップに追加し、ネットワーク解析製品群の充実を図っている。

 同社は、ネットワークケーブルテスタ/アナライザー製品で大きなシェアを誇る企業だ。他にも計測器、電圧・電流標準機などを取り扱っているが、米国では、このうちネットワーク関連製品を扱う部門がフルーク・ネットワークスとして独立し、監視・解析やトラブルシューティングを支援するツールを提供している。

 フルークは2000年に、長年強みとしてきたレイヤ1〜3でのテスト・トラブルシューティング機能に加え、レイヤ7までの分析を可能にするポータブル型製品「OptiView」をリリースした。さらに昨年、分散型ネットワークのモニタリングおよび解析を実現する「OptiView ワークグループアナライザー」を投入している。これらの延長線上にある今回の発表では、伝統的に解析対象としてきたLAN以外にWANや専用線までも対象に含め、より包括的なネットワークモニタリング可能にする。また新コンソールを通じて、統合された監視、解析を支援する。

 OptiView WANアナライザーは、企業ネットワーク管理者をターゲットとした製品で、OC-3搭載モデルと、OC-3/OC-12の双方をサポートしたモデルの2種類がある。自動セットアップやマルチレイヤでのテスト機能、RMON/RMON2に基づくSNMPトラップといった機能を搭載しながら、価格は既存のWANアナライザの半額程度。具体的にはOC-3モデルが360万円から、OC-3/OC-12モデルは560万円からになるという。同社は今年第4四半期をめどに、T1/E1、T3対応モデルも投入する計画だ。

 一方、「OptiView Console 6.0」は、LAN上の機器のみならず、上記のOptiView WANアナライザーを通じて、WAN上のデバイスについても自動的に検出し、稼動状況や障害・アラートなどをリアルタイムに把握できるコンソールだ。SNMP対応の無線LANアクセスポイントも、同様に監視下に置くことができる。価格は198万円だ。

 特徴としては、長期のトレンド分析が可能なこと、不適切な構成・設定のデバイスを見つけ出し、実際に問題が生じる前に管理者に警告できることに加え、他の統合ネットワーク管理システムとの連携が可能なことが挙げられる。具体的には、ネットワーク・アソシエイツの「Sniffer」やシスコシステムズの「CiscoWorks」との統合により、一元的な解析結果の把握が可能だ。さらにSNMPトラップの活用によって、日立製作所の「JP1」やヒューレット・パッカードの「HP OpenView」、コンコルド・コミュニケーションズの「eHealth」と連携することができる。

 OptiView製品群の背景には、ネットワーク上のあらゆるものを可視化することで、障害の解析・解決を支援する「ネットワーク・スーパービジョン」という同社の考え方があるという。「ネットワーク運用における最大の問題は“トラブルシューティング”。フルークは“ネットワーク・スーパービジョン”というコンセプトによってその解決を支援していく」と同社ネットワークス・ビジネス・ゼネラル・マネジャーの中桐有道氏は述べている。

3つの方向性をすべてカバー

 製品リリースに合わせて来日した、米フルーク・ネットワークスのデイビッド・コフィン氏(エンタープライズ・スーパービジョン・ソリューション・グループ統括マネジャー)は、「SNMPをベースとしたネットワーク資産情報(インベントリ)の収集とマッピング、RMONプローブを活用した統計解析、それにパケットキャプチャおよびプロトコル解析という3つの方向をすべてカバーしている製品は他にはない」と述べている。

 特に、これまでの経験を生かしたレイヤ1、レイヤ2でのテストに関して、同等の機能を提供できるベンダーはまずないと同氏は述べている。また独自のアルゴリズムをベースに、デバイスや回線を自動的に検出し、認識できることから、オペレータの作業がより容易になるという。

 ただし、「フルークのフォーカスは、あくまで最適化やトラブルシューティング。システム管理コンソールなどのリプレースは考えていない」(コフィン氏)。実際には、サードパーティが提供する統合ネットワーク運用システムと連携しながら問題を絞り込み、その先の詳細な分析・問題解決の部分でフルーク製品を活用するといった運用が現実的だ。それぞれをうまく使いこなすことで、問題の正確な切り分けと速やかな解決が実現できるという。

 コフィン氏はさらに、一連の発表を踏まえたうえで、今後の取り組みについて次のように述べている。「今後は、ネットワークだけにとどまらず、アプリケーションレベルのパフォーマンスを適切に測定し、アプリケーションの問題を把握できるようにしたいと考えている。またセキュリティ分野にも取り組み、不正侵入検知システムをはじめとするセキュリティ製品とのインタフェースを取れるようにすることも視野に入れている」(同氏)。

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[高橋睦美,ITmedia]