エンタープライズ:ニュース 2003/06/03 20:23:00 更新


MicrosoftがExchange Server 2003のRC1を公開

Microsoftは同社の電子メールサーバ、Exchange Server 2003のリリース候補版(RC1)を公開した。Standard版には、従来Enterprise版にしかなかった機能も盛り込まれている。(IDG)

 Microsoftは次世代電子メールサーバ製品であるExchange Server 2003のさらなる詳細を明らかにした。今週月曜日(米国時間)、製品リリース候補版(RC1)を広く公開したのである。

 RC1のリリースにより、Exchange Server 2003にはStandard版とEnterprise版があり、Standard版には、ユーザーにとってコスト削減となる、いくつかの変更が施されているとMicrosoftは述べている。さらに、Exchange 5.5からアップグレードするユーザーのために、統合アップグレードツールが提供される。Microsoftはこれら新製品の情報を、ダラスで開催されているTechEdカンファレンスで6月2日、明らかにした。

 Exchange Server 2003のStandard版は企業のファイアウォールの外側で専用メールサーバとして動作可能だ。メール専用として使われたときには、フロントエンドセットアップによってネットワークのロードバランシングを行うこともできる。この機能は従来のExchange 2000では、より高額なEnterprise版にしか搭載されていなかったとExchange担当プロダクトマネジャーのミシー・スターン氏は説明する。

「Exchange 2000 Serverでフロントエンドサーバをほしいと思っても、Enterprise版しか選択肢がなかった。フロントエンドサーバ機能はStandard版に含まれているので、そのためにEnterprise版を購入する必要はない」とスターン氏。

 Standard版は50人から5000人程度の、小・中規模の組織向けの製品。Enterprise版は利用者5000人以上の企業が対象で、大規模なストレージやクラスタリングの必要があるユーザー向けだ。

 Exchange 2000 Serverは2000年10月に発売された。これまでに販売されたクライアントライセンス数は1億3000万にのぼる。スターン氏は、Exchangeの競合製品として、IBM傘下のLotus DevelopmentによるLotus Notesなどがあると述べている。

 Exchange 2000 Serverはリリースからかなりたつが、Microsoftの推定では顧客のうち40〜60%は、いまだにWindows NTプラットフォームでExchange 5.5を利用しているという。Exchange Server 2003には旧バージョンからのアップグレードを容易にするためのツールが多数、含まれている。

「Exchange 5.5からExchange 2000に移行した顧客からのフィードバックすべてに、われわれは耳を傾け、詳細な運用ガイダンスを提供するためのウィザード、ツールを用意した」とスターン氏は説明する。「Exchange 5.5のサポートについては、今年の末までは提供されるが、それ以降は顧客が延長サポートを購入する必要がある」とスターン氏。

 Exchange Server 2003はWindows 2000 ServerとWindows Server 2003の両方で動作する。つまり、NT 4.0のユーザーが新バージョンのEメールサーバを動作させるためには、OSもバージョンアップする必要があるということだ。

「新しいアップグレードツールは、どちらのアップグレードについても役に立つはず」とスターン氏は説明する。

 1月に公開されたExchange Server 2003のβ2では5万人のテスターが参加した。120日間評価可能なRC1は6月2日からMicrosoftのウェブサイトで無償ダウンロード可能だ。

 RC1はExchange Server 2003の最終リリース版に、そのままアップグレード可能だ。Exchange Server 2003を試用して、採用するかどうかの検討を始めたいというユーザーは、RC1を利用し、最終リリースのコードが公開されたらインストールすればよい、とMicrosoftでは説明している。

 Exchange Server 2003の最終バージョンは、ボリュームライセンスの顧客は6〜8週間後に、小売りバージョンの顧客は第4四半期に入手可能になるとMicrosoftは述べている。

 Exchange Server 2003の価格はまだ公表されていない。Exchange 2000 ServerのStandard版の価格は699ドル、Enterprise版は3999ドル。この価格はサーバライセンスのみで、クライアントアクセスのライセンスは別途必要だ、とスターン氏。

[Joris Evers,IDG News Service]

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