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2003/06/06 20:23:00 更新


ビジネスアプリケーション業界再編はいい知らせか悪い知らせか

1週間のうちに2組の合併が起きるという大激震に見舞われたエンタープライズ市場だが、2組のカップルはかなりお家事情が違うようだ。アナリストがその後の業界図を予測する。

 今週起きたエンタープライズ市場の大激変はユーザーコミュニティにとって2つの意味がある、とアナリストは分析する。

 J.D. EdwardsとBaan Internationalはそれぞれ、PeopleSoftと投資コンソーシアムに売却された。PeopleSoft-J.D. Edwardsは17億ドルにのぼる買収額による合併後、ビジネスアプリケーション分野ではSAPに次ぐ第2位のベンダーとなる。Baanはシカゴに本社を置くSSA Global Technologiesと合併を予定しており、これによりおそらくERPベンダー中第4位の規模を持つ会社となる、と調査会社AMR Researchのアナリストであるジョン・バーミュデス氏の調査メモには記されている(SSA Global TechnologiesもBaanと同様、製造向けアプリケーションに特化している)。

 「過去2日間で起きたエンタープライズ・リソース・プランニング市場のリーダーシップの変化は、過去5年間の変化よりも大きい」とバーミュデス氏は述べている。

 それにもかかわらず、コンサルタント会社であるARC Advisory Groupのアナリスト、ジョン・ムーア氏によれば、これらの買収は業界の劇的変化をあらわしているわけではないという。彼らは単に現在の市場を反映しているに過ぎないという。

 「サプライヤーが多すぎ、彼らのビジネスが成り立つだけの顧客数は、この市場にはない、ということだ」とムーア氏は断言する。

 2つの合併を取り囲む事情はそれぞれ異なる。J.D. EdwardsとPeopleSoftはともに安定した会社で、ここ2年以上続いているIT投資の減速にもかかわらず、そこそこうまくやっていた。一方、買収騒動の最中にInvensysに買われたBaanは財政危機に見舞われており、また売却されてしまう運命にある。

 新たに手を組んだJ.D. Edwards/PeopleSoftは、合併が成立する年末には市場における一大勢力となるだろう。28億ドルの年間売上、1万3000人の従業員、150カ国以上に1万1000以上の顧客数を持つ。一方、Baanでは数カ月後を予定している合併後の新会社の陣容は、6億ドルの年間売上、1万6500の顧客数になると予想している。

 「これが示しているのは、よくも悪くも最終的には非常に巨大なプレイヤーしか残らないということだ」とムーア氏。「顧客にとっていいのは、より実行可能なサプライベースが得られるという点。しかし、過去のような交渉の余地はないだろうということが、悪い点だ」

 少なくとも今週の動きは、製造業の信頼性と相当数の顧客を必要としていたPeopleSoftにとって後押しとなるだろうと予想するのは、Enterprise Applications Consultingのアナリストであるジョシュア・グリーンバウム氏。

 これは両社の顧客にとってはすばらしいニュースだが、SAPとOracleにとっては悪い知らせだ。「製造分野での次世代アプリケーションの競争は、ずいぶんと激化するだろう」とグリーンバウム氏は予想する。

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[Marc L. Songini,IDG News Service]

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