エンタープライズ:ニュース 2003/06/17 13:47:00 更新


AIXユーザーも「UNIX不正使用」――SCOがIBM向けライセンス停止

SCOは100日間の警告期間が締め切られたとして、IBMがAIXを使用、配付する権利の停止を発表した。同社の主張によれば、AIXユーザーもUNIXを「不正使用」していることになるという。(IDG)

 「IBMのAIXオペレーティングシステムはSCOが保持するSystem V系UNIXソースコードの未認可派生物である」として、米SCO GroupがAIXの使用、販売、配付の中止をIBMに命じた。SCOは3月に、IBMを提訴し、UNIX権利付与を停止するとの警告を行っている。

 SCOは6月16日の発表で、同社は「IBMがUNIX System Vソースコードを改変またはもとにしたすべてのソフトウェアを使用もしくは配付する権利を停止した」と述べている。

 SCOは「IBMとAT&Tとの間で1985年に結ばれたUNIXソフトウェア/サブライセンス契約の中で認められた契約破棄の権利を行使する」としている。AT&TはSCOがこのソフトウェアの権利を取得する以前の所有者だった。

 SCOは3月にIBMに対し、同社がSCO UNIXの企業秘密を不正流用し、SCOのソースコードの一部をLinuxに使ったと主張し、10億ドルの賠償を求めて提訴した。この提訴でSCOはIBMに対し、向こう100日以内に契約違反行為をたださなければ、IBMのAIXライセンスを停止すると警告を与えていた。

 この警告の順守締め切りは6月13日深夜であり、IBMが契約に記載されている条項を順守しなかったため、16日、ライセンスを停止したと、SCOは述べている。

 IBMのシステムグループ広報であるトリンク・グァリーノ氏は16日、SCOによる一連の攻撃に変化はないと述べた。「SCOは自社の主張をそのまま継続している」とグァリーノ氏。「われわれがかねてから主張しているように、IBMのライセンスは取り消し不能であり、永続的なものであり、停止することはできない」と、ライセンスに関するIBMの解釈を述べた。「われわれはその立場を取っている」と同氏は付け加えた。

 SCOは16日、IBMに対する訴状の修正を提出し、その中でIBMがAIXの使用、配布を完全停止しUNIXにおけるSystem Vソースコードの全コピーの廃棄、または返還を行う「終局差し止め命令」を求めた。

 SCOはさらに、IBM側の不承諾により被った金銭的損害の賠償を求めている。修正された訴状は、SCOが対IBMの訴訟を開始したユタ州連邦地裁に提出されており、その訴状では、13日の締め切り以降にIBMがAIXで獲得した金額すべてだ。

 16日にSCOが行った請求に対する裁定はまだ発行されていない。SCOのSCOsource知的所有権事業部ジェネラルマネジャーであるクリス・ソンタグ氏によれば、地裁は最新の訴状に対して迅速な裁定もできるし、裁定に数カ月から数年かかることもあり得るという。「ポイントは、われわれは何年かかろうが気にしていないということだ」とソンタグ氏。「裁定が長引けば、SCO寄りの裁定が出た時にIBMがSCOに払う金額が大きなものになるということだ」、と同氏。

 さらに、「われわれがこの手段に出たのは、自社の権利を強化するためだ」とソンタグ氏は重ねる。

 SCOの社長兼CEOのダール・マクブライド氏は、SCOは自らの知的所有権を保護するために訴訟を行っていくと強調している。

 「IBMはわれわれのソースコードと配付契約を侵害する行動を取り続けている」とマクブライド氏は発表資料の中で述べている。「この数カ月でSCOは自らの権利を保護するために、UNIXライセンシング契約の中に記載されているすべてのステップを実施してきた。本日、SCOは法廷に対し、この権利に関する終局差し止め命令の実施を求める。IBMはもはやAIXの販売・配付を行う正当な権利がなく、その顧客はAIXを使用する権利を持たない」とマクブライド氏。

 SCO側を弁護するBoies Schiller, & Flexnerの代表であるマーク・J・ハイゼ弁護士は、依頼主(SCO)がIBMと結んだ契約には「ソースコードとそこから派生した作品および手法の保護が明記されている」と述べている。

 「AIXソースコードをLinuxに転用し、UNIXの手法を使ってフリーOSのLinuxの改善を図り、結果的にUNIXを破壊することで、IBMは明らかにUNIXソースコードを誤用し、SCOとの契約に違反した」とハイゼ氏は主張している。「SCOはIBMのAIX使用・配付権を停止する権利を有している。本日、AIXはUNIX System Vオペレーティングシステムのソースコードの不正な派生物となり、AIXのユーザーは正当な根拠なしにAIXを使用していることになる」とハイゼ氏。

 SCOの法廷闘争の核心は、SCOがUNIXを所有し、そのすべての契約、権利、著作権を有しているという論拠にある。同社ではSystem Vコードとそこから派生したコードの一部がLinuxの中に存在すると主張している。

 SCOは先月、すべての商用Linuxユーザーに対し、彼らがコードを不正に使用している可能性があると警告し、商用ユーザーはLinux使用に関してどうすべきかについて法律上の助言を求めることを推奨した。

 3週間前、NovellはSCOに対し、主張を取り下げるよう求めた。Novellの社長兼CEOであるジャック・メスマン氏が書いた手紙には、SCOがUNIX System Vの著作権と特許を所有するとの主張に対する激しい非難が記されていた。

 NovellはAT&TのUNIXシステムビジネスを取得していたが、1994年と1995年にUNIX資産を売却した。その契約相手の一つがSanta Cruz Operationで、後にSanta Cruz OperationはCaldera Internationalに買収され、その後、The SCO Groupと改称した。

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[Todd R. Weiss,IDG News Service]

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