エンタープライズ:ニュース 2003/06/17 15:07:00 更新


Sunが「AIXユーザーを助ける」SCO訴訟便乗キャンペーン

SCOによるUNIXライセンス訴訟とは無縁のSunが、不安にかられるAIXユーザーをターゲットにしたキャンペーンを開始する。(IDG)

 SunはIBMとThe SCO Groupの間で争われている法廷闘争を利用して、AIXからSolarisへの移行プログラムを6月18日、スタートする。手始めは、The Wall Street Journal、San Jose Mercury両紙への一面広告だ。

 この広告はJ. Walter Thompson Co.がデザインしたもので、SCOがIBMを相手取って10億ドルの訴訟を起こし、ビッグブルーのAIXライセンス契約を停止したと発表したことに遠回しに触れている。そして、SunのSolarisはIBMのAIXよりも安全なUNIXだと主張しているのだ。

 「AIXユーザーのみなさまへ:Sunが助けに参りました……。不幸なことに、われわれのブルーな友人たちはライセンス契約で問題を抱えており、その結果、AIXをご利用の方々にとっては非常に高くつくことになるかもしれません」と、広告には書かれている。

 このキャンペーンの目的は、「SunはUNIXプラットフォームにコミットしている。そうでないところも多いが」ということを思い出してもらうためだと、Sunのグローバル情報システム戦略オフィス担当副社長であるラリー・シンガー氏。

 Sunはこの移行プログラムで、AIXからSolarisへ移行したいと思っている顧客に、無償で2日間の見積もりを行う。次に、iForceサービスセンターを通してSunのプロフェッショナル・サービス・グループが独立系ソフトウェアベンダー(ISV)、システムインテグレーターとチームを組み、AIX用システムをSolarisに移植する。

 Sunは今後数カ月のうちに、同様の移行キャンペーンを多数のライバルプラットフォームに向けて実施する。それにはHewlett-PackardのTru64、VMS、HP3000、そしてWindows NTが含まれる。Sunはx86版Solaris向けの移行キャンペーンも行う。

 Sunがもともと企画していたのはTru64からSolarisへの移行プログラムだったが、SCOによるIBM提訴が未解決のままなので、AIX向けプログラムを前倒しすることにした、とシンガー氏。「AIX向けプログラムを少しだけ先行させることにした。IBMがわれわれに手渡してくれたチャンスがそこにあるから」と同氏。

 SunとIBM版UNIXでは、SCOと結んでいるライセンス契約が異なる、とIlluminataの上級アナリストであるゴードン・ハフ氏は説明する。Sunは「先見の明で、Solarisに関するUNIXの権利を基本的にすべて買い上げているからだ」、とハフ氏。「だからSunはライセンス契約の影響を受けず、すべての顧客にとって安全なプラットフォームだと主張している」と同氏は解説する。

 SCO幹部もハフ氏の推測に同意する。「Sunは広範囲の権利を持っており、彼らは自らが保持している権利でつまづいてはいない」とSCOのCEOであるダール・マクブライド氏は述べている。「Sunとは何年にもわたって、非常に良好な関係を築いている。彼らはSolarisのライセンシング権のために1億ドル以上を払っているのだ」とマクブライド氏は付け加えた。

 移行プログラムで次にスタートするのはTru64だ。シンガー氏によれば、7月にTru64用キャンペーンが始まるという。

 IBMはこの広告に対してはノーコメントで、SCOはIBMのライセンス契約を「停止することはできない」とIBM広報担当者は述べた。

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[Robert McMillan,IDG News Service]

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