エンタープライズ:ニュース 2003/06/18 15:45:00 更新


SybaseのCEO、SCOとOracleの行動を非難

UNIX向けデータベースベンダーで、OracleのライバルでありPeopleSoftのパートナーとしての立場を持つSybaseのCEO、ジョン・チェン氏が、「UNIX問題」「PeopleSoft買収提案」について語る。(IDG)

 Computerworld誌ではSybaseのCEOであるジョン・チェン氏とのインタビューを6月16日に行った。このインタビューの中で、チェン氏はThe SCO GroupのUNIX著作権侵害訴訟、OracleによるPeopleSoftの敵対的買収について答えてくれた。概要は次のとおり。

Computerworld SybaseはLinux市場で強いプレゼンスを持っています。SCOの主張に対し、あなたとSybaseの顧客はどう考えていますか?

チェン 顧客は心配しています。Sybaseの大口顧客のうち2社は、Linux関連のプロジェクトを遅らせ、事態の進展を見守ると言っています。この訴訟のせいで状況に歪みが生じているのは確かです。私が心配しているかどうか? 私は心配していません。顧客がUNIXからLinuxへ、またはNTからLinuxへとアプリケーションの移行を求めてくれば、その仕事をやるだけです。

 私も顧客もこの件がどう広がっていくのかをじっくりと見守っていくつもりです。業界人として、私自身は恥ずかしく思っています。Linuxプラットフォームは市場における1セグメントとしての役割を果たしており、これに対して強力なプレイヤーが攻撃するのを見たくありません。結局、本件はわれわれの業界と革新性を傷つけてしまうでしょう。このようなことが原因でオープンシステムの動きが停止すれば、革新性は失われ、大企業だけが喜ぶのです。オープンな環境の中でこそ、プレイヤーが付加価値を与え、それによりITの予算が、削減されるのではなく増加するのです。私は、ゴミが投げ散らかされているような今の状態は非常に不幸なことだと思います。一部のプレイヤーは現状を守りたいだけでしょう。

 われわれの業界は今、資本の増強を必要としています。まず、難民のためにより多くの仕事を作ってあげなければなりません。業界プレイヤーが中で争って、革新的なプロセスを停滞させる時ではありません。

Conputerworld SybaseとPeopleSoftは数年にわたって強力な関係を築いてきました。Oracle CEOのラリー・エリソン氏による敵対的買収提案についての見解は?

チェン 不当に低い価格で買収提案をしたことで、少なくとも現在のPeopleSoft/J.D. Edwardsの状況を切り崩しました。ラリーがナンバー2の座を奪われたくなかったのは明らかでしょう。ラリーの会社の前四半期の数字を調べてみれば、アプリケーションビジネスが増加していないことがわかるはずです。実際、外貨分を調整すれば、Oracleのアプリケーションビジネスは縮小しているのです。過去数四半期にわたってパッケージ・アプリケーション・ビジネスはどのベンダーも不調で、景気がよくなるまでこの調子は続くでしょう。だから、再編してアプリケーションビジネスを盛り上げるにはいい時期なのです。

 この分野で競争しようとは思っていませんが、寡占状態がいいはずはありません。もちろん、Sybaseにとってもです。SybaseとPeopleSoftは最高レベルの関係で、PeopleSoft用として400から500のインストールベースを持っています。また、中国の医療といった新分野でも共同で参入しています。

 また、ラリーは1年前、(PeopleSoft CEOのクレイグ)コンウェイ氏から彼にアプローチがあったという話を公表しました。これが本当なのかどうかはわかりませんし、私はコメントできる立場ではありません。しかし、CEOが守るべきビジネス規範が冒涜されたのは明らかです。これは困ったことです。

Conputerworld 話をLinuxに戻しますが、UNIXで成功を収めてきた会社として、Linuxによって世の中はどのように変化していると思いますか?

チェン 数年前、われわれはLinuxを混乱を引き起こすものだと認識していましたが、今は全製品がLinux上で動いています。実は、われわれは7月頃にLinuxコンピテンシーセンターを設置し、ウォール街の企業がUNIXアプリケーションをLinuxに移行させたり、その逆に移行したりするのを助け、その実績を共有しようと考えています。

Conputerworld UNIXにおけるSybaseは減少傾向にあるのですか?

チェン Sybase-on-Unixのインストールベースは、いくつかのアプリケーションの改編により、将来は減少すると予想しています。しかし、ほとんどのLinuxアプリケーションは新製品なので、大きく変わることはないでしょう。

Conputerworld UNIXからWindowsに移行している顧客はありますか?

チェン 当社の顧客のうち、多くの有名企業がWindowsへの移行を試みて、その後で断念しています。有名な例でいうと、Merrill Lynchです。彼らはもうWindowsは使っていません。Linuxも試してみましたが、これも既に使わなくなっています。少なくとも今のところは。彼らは結局、UNIXにとどまっています。



関連記事
▼波紋を広げるSCOの知的所有権問題(総合リンク)
▼トピックス:激震するアプリケーション業界
▼エンタープライズトップページへ

[Don Tennant,IDG News Service]

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.