エンタープライズ:ニュース 2003/06/18 18:48:00 更新


AIXユーザーはSCO訴訟に動揺せず

SCOによるAIXライセンス破棄で、AIXのユーザーに動揺が広がっているかに思えたが、実際のユーザーの声は違っていた。(IDG)

 IBM版UNIXであるAIXのユーザーは、IBMとThe SCO Groupの争いがAIXの購入計画に与える影響はほとんどないと述べている。SCOは6月16日、AIXを使用しているだけでも同社の著作権侵害であると宣言した。

 SCOは3月、IBMがSCOのUNIXソフトウェアのソースコードをLinuxに流用したとして同社を提訴した。企業機密の不正流用、不法妨害、不当競争、契約不履行により、SCOはIBMに対して10億ドル以上の損害賠償を求めている。

 SCOは16日、ユタ州連邦地裁に訴状の修正を提出し、賠償請求額を30億ドルに引き上げた。同社はまた、IBMのUNIXライセンスを破棄し、AIXの顧客に対し、このソフトウェアを使用する法的根拠はないと警告した。

 しかし、17日に取材を申し込んだAIXの顧客はこの問題を心配していない。

 「それは私の戦いではなく、IBMとSCOの戦いだ」と、インスタント・メッセージング・サービス会社、PalTalk.comのCEOであるジェイソン・カッツ氏は語る。同社ではIBMのpSeriesサーバをAIX上で動かし、それをメッセージング用インフラストラクチャにしている。「まったく問題ではない」と同氏は断言する。

 カッツ氏はAIXサーバをIBMから購入する予定で、SCOのAIXライセンス破棄によって事態が変わるとは見ていない。「どちらにしても、私の選択に影響はない」とカッツ氏。

 別のユーザーも同意見だ。

 「つまるところ、SCOが言っていることを考慮に入れるべきかどうかは分からない」とペンシルベニアの大規模小売り店でAIXを利用しているダン・ラジュ氏は語る。

 この訴訟はラジュ氏の会社のAIX購入計画にまったく影響を与えていない。「この件をもとに技術的な決定をした人がいるとは思えない」と同氏。

 ラジュ氏とカッツ氏の反応はうなずける、とテクノロジーに精通した弁護士は説明する。

 「パニックになる必要はまったくないと思う」と法律事務所Brown Raysman Millstein Felder & Steinerのパートナーであるジェフリー・ノイバーガー氏は語る。「まず第一に、SCOの論拠は疑わしいもので、ユーザーが最終的に不利益を被るとは考えられない」と同氏は述べる。

 IBMは、この件で顧客が不利益を受けないよう保証すると言うところだったが、顧客は無関係であるという主張を明確にした。

 「われわれはこれまでと同じく、可能な限りの方法で顧客の味方となる」とIBMの広報は語った。

 ノイバーガー氏は、IBMは本件に関連する問題すべてから顧客を守ってくれるだろうと同意する。「IBMはビジネス面でもおそらくは契約面でもユーザーが経験する可能性のあるすべての問題を支援してくれるだろう」と同氏。

 顧客がパニックになっていないからといって、彼らが完全にこの訴訟を無視しているかというと、そうではない。

 「心配する顧客がいるのは理解できる」と、AIXソフトウェアベンダーであるJournyxのCEO、カート・フィンチ氏は語る。

 同氏は大きな決定は事態の推移を見据えた上で行うようにと、自社の顧客にはアドバイスしている。「私は顧客に対して、訴訟が具体化するまでは心配しないようにと助言している」とフィンチ氏は述べた。

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[Robert McMillan,IDG News Service]

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