エンタープライズ:ニュース 2003/06/20 18:51:00 更新


オープンソースの擁護者、SCOの主張を突き崩すか?

オープンソースの擁護者で、『伽藍とバザール』の著者としても知られているエリック・レイモンド氏が、UNIX著作権問題でオープンソースコミュニティを敵に回したSCOに対する反証を準備している。(IDG)

 The SCO GroupがUNIXソースコード契約をめぐりIBMとの法的闘争をエスカレートさせた数日後、オープンソースの擁護者であるエリック・レイモンド氏はSCOの論拠を覆す証拠を握っていると応酬した。

 レイモンド氏のもとには60人の宣誓することを希望するUNIXユーザーが集まっており、IBMのAIX UNIXには企業秘密であるUNIX System Vのソースコードが含まれているというSCOの主張に対する反証を行うとしている。

 レイモンド氏は法律上の理由により、同氏がこの証拠をもってどのような計画でいるのかについてはコメントを避けた。

 企業秘密の不正流用は、SCOがこの件についてユタ州連邦地裁に提出した訴状の訴因6件のうちの一つである。しかし、レイモンド氏の主張によれば、UNIXのソースコードは過去20年間にわたり、非常にゆるやかな保護しか受けていなかったので、SCOのコードに企業秘密が含まれているかを法的に証明することは不可能だという。

 「企業秘密を強制する場合に法律家が確実に不注意な失敗とみなすパターンが存在する」とレイモンド氏。「彼らは企業秘密を持っていると主張しているが、その一方でその論拠となるべき制限を強制してこなかった歴史がある」と同氏は付け加える。

 レイモンド氏は5月末にNo Secretsと呼ばれるサイトを立ち上げ、それ以降、この件に関連するUNIXユーザーからの情報を収集してきた。このページでは読者に対して「あなたがプロプライアタリなUNIXソースコードにアクセスした経験があり、そのときに守秘義務契約の締結が不必要であったか、もしくは守秘義務契約が強制されなかった場合」レイモンド氏にコンタクトしてほしいと書かれている。

 これまでに150人から反応があったとレイモンド氏は述べている。

 レイモンド氏のやっていることは「たいへんな時間の無駄」とSCOの副社長兼SCOsource担当ジェネラルマネジャー、クリス・ソンタグ氏は語る。「重要なポイントは、UNIX System Vソースコードはいかなる団体に対しても完全な守秘義務があり非常に厳密な条項が決められたフルソースコード契約でないかぎり提供されていない。だから彼のやっているには根拠がない」と同氏は一蹴する。

 レイモンド氏が言うように、個人がSystem Vのソースにアクセスできたとしても、それがSCOの企業秘密に関する主張に終わりを告げることにはならない、とソンタグ氏は主張する。そのソースコードを見せた企業がSCOのソースコード契約を侵害したということになるだけだ、と同氏。

 レイモンド氏はソンタグ氏に異論を唱える。「AT&Tとその後継企業、そしてSun MicrosystemsなどのUNIXベンダーが日常的にソースを大学に販売し、NDAや守秘義務契約を誰とも結ぶことなく数千人の学生がソースコードを見ているのは、公開された情報だ」とレイモンド氏はメールで回答を寄せた。

 “No Secrets”サイトは理論上、IBMの訴訟を助けることができるかもしれないが、それはレイモンド氏が集めたLinuxユーザーがどのようにソースコードにアクセスしたかによる、とBrown Raysman Millstein Felder & Steinerのテクノロジーに詳しい弁護士、ジェフリー・ノイバーガー氏は述べている。同氏はSCO-IBMの件を追いかけている。ユーザーがSystem Vのソースコードに合法的にアクセスしたのであれば、「SCOの企業秘密と不正使用に関する主張は崩されることになるだろう」と同氏。「もしも宣誓をした60人がソースコードを盗んでいたのなら役に立たないだろうが」とノイバーガー氏は述べた。

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[Robert McMillan,IDG News Service]

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