エンタープライズ:ニュース 2003/07/03 20:41:00 更新


PeopleSoftユーザーはOracleによる買収「延期」を歓迎

Oracle-PeopleSoft買収問題は、司法省が乗り出したことでOracleにとって苦しい状況となった。PeopleSoftユーザーは歓迎し、J.D. Edwardsとの合併も楽観視している。(IDG)

 OracleがPeopleSoftに対する敵対的買収を進めるには、乗り越えなければならない法的障害がいくつもあり、両社の製品のユーザーは数カ月の間、不安を募らせなければならないだろう。

 今週、米司法省はOracleに対し、同社の買収計画に関する追加情報を要求した。司法省により独占禁止法もしくは合併に付随する調査が行われる可能性があり、その調査には数カ月を要するだろうと専門家は推測する。

 また、OracleがPeopleSoftに対し買収対抗措置をやめるように求めたデラウェア裁判所における審問は、当初7月16日に予定されていたが、7月25日に延期された。PeopleSoft支持者は、これによりPeopleSoftによるJ.D. Edwardsの友好的買収は締結され、Oracleの乗っ取り計画はさらに困難なものになるだろうと推測する。

 J.D. EdwardsのCEO兼会長であるボブ・デュカウスキー氏は水曜日、司法省がOracleに対して追加資料を求めたことが、J.D. EdwardsとPeopleSoftとの合併に直接影響することはないものの、少なくともOracleによる敵対的買収を送らせることにはなるだろうと述べた。

 「これにより、J.D. EdwardsとPeopleSoftの合併の先行きが明るくなったことがはっきりしたことを指摘しておきたい」とデュカウスキー氏はComputerworld誌とのインタビューの中で述べた。

 流動的な状況に対するユーザーとアナリストの反応はさまざまだ。

 司法省によるOracleの買収計画評価は3カ月か4カ月、もしくはそれ以上かかるかもしれない、とLatham and Watkins法律事務所のテクノロジーと独占禁止法問題に詳しい弁護士、ダニエル・ウォール氏は予測する。一方、ユーザー企業は「雲をつかむような状態」の中で購入・アップグレードの決断をしなければならない。

 「合併問題の時計が進み始めるまで、優に1、2カ月はかかるだろう」とウォール氏。

 明らかに、この延期により、Oracleの仕事は困難なものになり、PeopleSoftとJ.D. Edwardsが合併すれば、「Oracleが買収を進めるかどうかは非常に疑わしい」とコンサルティング会社ARC Advisory Groupのアナリストであるジョン・ムーア氏は述べる。OracleはPeopleSoftとJ.D. Edwardsの合併について、複雑な胸の内を明かした。

 PeopleSoftユーザーは法的措置はよい兆候だと見ている。

 「事態が長引けば、(Oracleの買収提案が)失敗する可能性が高くなる。だからPeopleSoftが独立した存在であることを願う人たちにとってはよいニュースだ」と独立系団体のPeopleSoft International Customer Advisory Boardで会長を務めるペグ・ニコルソン氏は語る。理想的には、PeopleSoftとJ.D. Edwardsの合併が締結されればOracleは手を引くことになるだろう、と同氏。

 「時はPeopleSoftに味方している」とするのはPeopleSoft ERPのユーザーである電機製品メーカー、L.D. KichlerのCIO、ジョン・シンドラー氏。J.D. Edwardsとの合併が成立すれば、Oracleは買収金額を90億ドルから100億ドルにまで引き上げる必要に迫られる、と同氏は指摘する。

 Oracleユーザーの意見は異なる。Oracleのビジネスアプリケーション顧客の一部は、合併の成功を希望する考えを改めて表明した。

 「Oracleが現在のビジネスに対するフォーカスを失わず、この件に深入りしすぎることさえなければ、延期は問題ないと思う」と医療機器メーカーHologicのCIOであるデビッド・ルジンスキー氏は述べる。同社はOracleのERPとCRMソフトウェアを稼働させている。

 「私は買収提案を支持しており、これが成功することにより、Oracle-PeopleSoftが提供する最良の技術に基づいたERP-CRMソリューションが登場するのを心待ちにしている」とルジンスキー氏。

 「合併がよい考えであるとするなら、その方針を貫くだけの価値はあるはずだ」とホップメーカーであるJohn I. Hassの情報ソリューション担当副社長、カイル・ランバート氏は語る。「だから、OracleがPeopleSoftとの合併を真剣に考えているのなら、司法省の調査で数カ月遅れるくらい、私にとって何でもないことだ」と同氏。

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[Marc L. Songini,IDG News Service]

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