エンタープライズ:ニュース 2003/07/09 00:44:00 更新


日本BEA、eWorld JapanでUFJ銀行やソニーの事例を披露へ

オープンさと優れた開発効率から全社的なJ2EE採用に踏み切る企業が増えている。J2EEアプリサーバ市場のパイオニアであるBEAは、その実績をアピールすることで日本市場での戦いを有利にしたいと考えている。

 日本BEAシステムズが7月16日から開催する「BEA eWorld Japan 2003」カンファレンスで、大手メーカーを含む幾つかのユーザー事例を紹介し、その主力製品である「BEA WebLogic Server 8.1J」の実績をアピールする。先ごろも、UFJ銀行が「総合金融プラットフォーム」へのWebLogic Server 8.1J採用を明らかにしたばかり。

 1995年創業のBEA Systemsは、オープン環境でオンライントランザクション処理を確実に実行するためのミドルウェア、「BEA Tuxedo」(ノベルから買収)を主力製品としていたが、1998年にJDBC製品を開発・販売していたWebLogicを買収し、Javaアプリケーションサーバの開発に着手した。それが、現在J2EEサーバ市場の覇権をIBM WebSphereサーバと激しく争うWebLogic Serverだ。

 Java Community Processと呼ばれるオープンなプロセスで仕様が策定されているJ2EEは、多くの有力ベンダーやISVの支持を集めている。コンポーネントを再利用できるという開発生産性の良さはもちろん、多くのプレーヤーが投資を集中させる結果、優れた製品やサービスが続々と生まれている点もコストも引き下げたい企業顧客にとっては魅力だ。

 BEA eWorld Japanでは、ソニーグローバルソリューションズの採用事例が紹介される予定だ。同社は、ソニーが傘下に収めたシステムインテグレーターのシーアイエスをソニーシステムインフォメーションシステムソリューションズ(SISS)に合流させたもの。7月1日から社名も変更し、新たなスタートを切っている。

 同社(当時SISS)は今年2月、ソニーグループ向けのJavaベースシステム開発を効率化するため、J2EE開発で国内有数の実績を持つイーシー・ワンと業務提携した。BEA WebLogic Serverとイーシー・ワンのJ2EE開発フレームワークである「cFramework」を基盤とし、コンポーネントの共有を進め、開発効率を高めるのが狙いだ。

 7月17日、基調講演のステージに上がるソニーグローバルソリューションズ プロジェクトマネジメント事業部の大野豊ディレクターは、「業務改善は、すなわちITシステムの変更を意味する。その都度、工数とコストのかかるメンテナンス作業を繰り返していたのでは、新規開発の余力も限られてしまう」と課題を指摘する。

 同社とイーシー・ワンでは、ソニーグループ向けリエンジニアリングされたシステム開発プロセスを共同開発することでも合意しているという。

 また、同じ日の午後には、イーシー・ワンのEJB(Enterprise JavaBean)コンポーネントを再利用するデモも予定されている。同セッションでは、イーシー・ワンのリテール向け店舗管理パッケージ、「cRetailSolution」に含まれるEJBコンポーネントをBEA WebLogic Workshopで部品として再利用するデモをライブで行う。Webサービス化された機能をさらにcFrameworkから呼び出し、ちゃんと動作するところまで確認する。同カンファレンスで正式発表される「BEA WebLogic Platform 8.1J」の新しい機能を実際に確かめられるものになるという。

 BEA WebLogic Platform 8.1Jは、WebLogic IntegrationやWebLogic PortalといったランタイムコンポーネントをWebLogic Server上に統合しているほか、このバージョンからWebLogic Workshopによって開発環境も統合している。米国では今年3月のBEA eWorldで正式発表されている。

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▼BEA eWorld Japan 2003 レポート

関連リンク
▼BEA eWorld Japan 2003オフィシャルサイト

[浅井英二,ITmedia]