エンタープライズ:ニュース 2003/08/05 20:18:00 更新


LinuxWorldで本格デビューを飾るLinuxクラスタリング

LinuxWorldで発表される大きなトピックに、Linuxクラスタリングが挙げられる。IBM、Hewlett-Packardなどから対応システムがリリースされる予定だ。(IDG)

 ハイエンドLinuxクラスタリングは堅実に成長し、サンフランシスコで開催されるLinuxWorld Conference & Expoで32ビットと64ビットのプラットフォームの立ち上げを行う。

 これまで比較的堅牢なLinuxクラスタリングの提供は遅れていたが、今週の発表により、アーキテクチャに対する企業からの信頼を勝ち取ることになると業界オブザーバーは見ている。

IBMは64ビットのDB2などを

 会期中、IBMは64-bitの「DB2 Integrated Cluster Environment for Linux」を発表する。これは2ノードから1000ノードまで拡張可能な設計で、Advanced Micro Devicesの64ビットOpteronプロセッサを活用するものだ。OpteronベースのIBM eServer 325は、32ビットと64ビットの両方のアプリケーションが動作し、64ビットコンピューティングへの移行を容易にする。

 「当社は数百ものサーバをクラスター接続したいユーザーに焦点を当てている。多TCO問題を重視しているユーザーが増えているからだ」とIBMのLinuxソフトウェア・ソリューション・グループでディレクターを務めるスコット・ハンディ氏は語る。

Hewlett-PackardはXeonベースクラスターやソフトウェアを

 Hewlett-Packardは最初のターンキー型LC(Linux Compute)クラスター製品ラインを投入し、IBMに対抗する。設定済みのデザインで商用ユーザーを対象にしたXeonベースのクラスターで、最大128ノードまで拡張できる。

 「これによってすべてを再設計する必要がなくなる。われわれは業界標準のProLiantを使っているが、ハイパフォーマンスのアプリケーション向けに改良を加えている」とHPのビジネス戦略担当者、マイク・バルマ氏は述べた。

 Hewlett-Packardは、ソフトウェアも会期中に大量投入する予定だ。ユーザーが自動的にサーバソフトウェア導入を行うことができる「ProLiant Essentials Rapid Deployment Pack for Linux」、「Red Hat's Enterprise Server」と、SuSE Enterprise Server 8.0をサポートする管理ソフトウェアの「HP Serviceguard for Linux」、サーバベースのアプリケーションのアップタイムを改善する「HP OpenView GlancePlus for Linux」のリリースだ。

 ストレージ関連のVeritasもクラスタリングの先頭集団に飛び込もうと考えており、Veritas Cluster ServerエージェントをLinuxに移植し、IBMのzSeriesメインフレーム用「Veritas Foundation Suite to Linux」を発表する予定だ。

 Linuxクラスタリングモデルによってもたらされる管理の効率化、価格性能比の向上、さらなる柔軟性といったことを待ちに待っていたと、一部の企業ユーザーは各社からの発表を歓迎している。

 「実は、データベースクラスタリングが隠し味になっている。われわれは100台以上のサーバをまとめあげてすべてのデータを手際よく共有したいのだ。われわれの質問は、複数のオペレーティング環境で動作するのかということと、それによる本当のコストはどうなるのかということだ」とMonsantoのITマネジャー、トム・ジェニングズ氏は語る。

 Candleは64ビットLinuxベースのプラットフォーム推進を加速する予定だ。同社は管理ソフトウェアライン拡張し、IBM WebSphere、IBM MQSeriesと64ビット・コンピューティング・プラットフォームをサポートする。

 「われわれはLinuxのチューニング、テスティング、管理のために新旧の顧客から急激に注文が増えている。共通のオペレーティングシステムに移行し、コストを抑えようとしているのだ」とCandleのデータセンター管理グループ担当副社長、テリ・ソーケン氏は述べる。

BEAはHewlett-Packard、Red Hatとの協業を発表

 同カンファレンスでは、BEA SystemsもHewlett-Packard、Red HatとのLinux協業を発表する予定だ。この共同サポート契約により、WebLogicユーザーはHP-UXで提供していたものと同程度のサポートをUnited LinuxとRed Hat Linuxディストリビューションで受けることができる。

 BEAはWebLogic 8.1とRed Hat Linuxをバンドルした製品を年末までに出荷すると発表する予定だ。同社はJavaをLinuxに最適化するためにRed Hatとの提携を拡大する計画である。

Sunは自社サーバにSuSE Linuxバンドルを改めて発表

 SuSE Linuxは先月、Hewlett-Packardとの間でバンドル契約を結んだが、Sun Microsystemsとも提携し、SunはIntelベースのサーバにSuSEのLinux Enterprise Server 8.2をバンドルすると発表する。

 SuSEはSGIとも提携を計画しているが、情報筋によれば、両社はまだ契約条件で折り合っていないようである。

 また、Penguin Computingは新システム4製品を発表する。Penguinの「Tempest 2100」ワークステーション、1UラックのAltus 1200、3Uラックの「Altus 3200」はAMDの新しいOpteron 246チップに対応する。4ウェイの「Altus 4200」にはOpteron 840シリーズのプロセッサが搭載される。

 LinuxWorldに参加しない前Linuxディストリビューターは、The SCO Groupである。同社は現在IBMと法廷闘争中で、LinuxユーザーをLinuxのソースコードに含まれている知的所有権侵害で訴えると脅している。「もしも参加したらどんな対応をされるかわからない」とSCOの代表であるブレイク・ストーウェル氏は述べた。

 Illuminataのアナリストであるゴードン・ハフ氏は、「SCOがLinuxWorldに顔を出しても、悪意、罵詈雑言を招くだけだ」とその結果を予想する。

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[Ed Scannell and Robert McMillan,IDG News Service]

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