エンタープライズ:コラム 2003/08/05 17:09:00 更新


Linux Column:夏ナスは今が食べ頃だろうか

ネットワークストレージの1つNASが、低価格な製品としても脚光を浴びている。市場を見つめ、メルコの製品を試して感じたことを書いてみよう。

 筆者が飲みに行く時は、チェーン系の居酒屋に行くことが多い。何といっても安くすむのが魅力だが、どの系列の店に入っても必ず頼むのが「ナスの浅漬け」。どんな酒にも合うのが何ともいえず、連れに同じナス好きがいればアッという間に1本丸々食べてしまい油断ができない。まあ、安いからいいのだが……。

NASは家庭内ユーザーへも普及の兆しが

 さて、どうでもよい前振りは置いておこう。ここに来て、NAS(Network Attached Storage)が普及の兆しを見せている。これまでもLinuxオープンソースの使用目的の中で、常に上位を占めていたネットワークファイルサーバだが、NASという形でスモールオフィスから家庭内LANにまで進出しているのは明らかだ。特にメルコの「LinkStation」(http://buffalo.melcoinc.co.jp/pronow/hd-hlan/)は、まさに家庭内のホームネットワークをターゲットにしている製品だ。いまや一家にPCが2台、3台あるのも現実的となってきており、安価に製品化可能なことからも市場を広げている。従来のNASというと、ディスクはRAID-5レベル程度で何百GBものディスクを搭載するイメージだったが、メルコを中心とする製品はRAIDを搭載しない「スモールNAS」という感じだ。果たしてこのような製品コンセプトが受け入れられるかどうか。しばらくは成り行きを見守る感じだろう。

 今後の売れ行きはともかく、幾つかの低価格NAS製品を試してみる機会があったので、インプレッションしておこう。

LinkStationを簡単にインプレッション

 まず使い勝手の面だが、振り返ってみれば私はこの連載の第2回で次のように書いた。

 「アプライアンスは,先進であるが故に,脆い。誰でも扱えるものではない。気軽にコンセントに差せば使えるものでもない。IPアドレスの設定から始めて,さまざまな知識が要求される。残念ながら誰にでも扱えるものではない。」

 最近のNASは、自分でOSからインストールしてSambaの設定のためにsmb.confをゴリゴリと変更するのに比べれば、雲泥の差といえるほど使いやすくなっている。IPアドレスの問題にしても、たとえばADSL用にルータなどがあればDHCPクライアント機能が自動設定してくれる。Webの管理ツールなど含めて「お主、なかなかやるな」などという感じだ。取っつきやすさという点では、一般化に成功しつつあると感じた。

 性能面についても、さすがに100Base−TXの速度には迫らず、やや遅いなという印象を受けるが、これはNASに限らず現状の100Mbpsネットワークの限界だから仕方がない。逆にアクセスが集中するファイルサーバー側にギガビットが欲しいところだから、早くギガビット・チップが安くならないだろうか。

 価格面も、大容量ハードディスク+αといった設定であり、デスクトップとノートPC両方を持っているような個人ユーザーでも十分に購入対象となるかもしれない。もちろん、このコストダウンに貢献しているのはSambaのようなGPL配布のソフトウェア。本当ならばもっと前面に「Samba使用」と書いてほしいところだが、残念ながらマニュアルの隅っこの方に「ソースコードご希望の方はご連絡を」と書いてある程度だ。個人的にはせめてスペック表に載せるぐらいはしてほしいところです。そうとはいえ、一般ユーザー相手の場合にはあまり細かいことを載せたくないということなのでしょう。

 そんな感じで全体的に見てモノとして使いやすくなってきているので、大容量のUSB接続外付けハードディスクとどっちを買うのか迷う人も多いかもしれませんね。2年も前に書いた言葉が、当てはまらなくなってきているのは、なんとなく居心地が悪い気もしますが。

 Linuxやオープンソースソフトウェアを活用するというと、なんとなくコマンドラインでバリバリと使うイメージが強いかもしれませんが、こんなところにもオープンソースという例が増えていくでしょうね。次の主戦場はHDDレコーダーあたりかな?

関連リンク
▼Linux Column

[宮原 徹,びぎねっと]