エンタープライズ:ニュース 2003/08/27 19:04:00 更新


システム・テクノロジー・アイ、ITスキル標準に基づくスキル診断サービスを提供開始

システム・テクノロジー・アイは、経済産業省が策定したITスキル・スタンダードに基づく診断サービスの提供を開始した

 システム・テクノロジー・アイは8月27日、経済産業省が策定したITスキル・スタンダード(ITSS)に基づく診断サービス「iStudy Skills for ITSS」を2003年10月10日から発売することを発表した。同サービスは、アルゴエデュケーションサービスと共同で開発されたもの。価格は60名程度の診断で30万円から。個人向けには4000円で提供される。

 なお、9月上旬より、同サービスを無料で利用可能なモニターユーザーを募集する予定。

松岡氏

システム・テクノロジー・アイ代表取締役社長の松岡秀紀氏


 同サービスは、Webブラウザ上で、ITSSのスキル・フレームワークに基づいたスキル診断を行える。上司や同僚などからの多面的評価や、診断の履歴管理などが可能で、それらの結果に合わせてIT資格を連動させていくことで、スキル診断からスキルアップまでをトータルで管理でき、企業における人事評価の指標として活用していけるとする。

 ユーザーにとっては、キャリア形成に必要な研修や習得すべきスキルが提示されることで、ひとつの指標として考えることが可能となる。

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「iStudy Skills for ITSS」の画面


 同社は2002年8月、「Real E-Learning」と銘打ち、それまでの個人向け戦略から法人向け戦略への転換を発表しており、企業向けに総合ライセンスを用意するなどしてきた。

 松岡氏によると、今日のITエンジニアを取り巻く環境は、

  • 中国でのソフト開発の増加
  • 開発人件費単価の下落
  • パッケージ利用による開発の増加
  • 成果仕儀でない給与体系
  • OJT以外の教育手法が提供されていない

などの要因のため、非常に厳しい状況であり、これまで以上に「強いITエンジニア」が求められる情勢であると指摘する。

 こうした中、経済産業省はITサービスの提供に必要な実務能力を明確化・体系化した指標として「ITスキル標準」を策定し、ITサービスプロフェッショナルを育成する産学の共通枠組みとして普及を図っている。

 今回の発表は、いわば経済産業省が示した指針に対していち早く乗った戦略であり、ITSSをベースとした法人顧客サービスの強化および個人顧客への付加価値サービスとして機能するものだといえる。同社では今後、「iStudy」に留まらず、テキストなど紙媒体を組み合わせたり、研修を開催するなどして、この事業をさらに展開していくと考えられる。

 同サービスは、ITSSで定義されている全11職種38専門分野のうち、3職種(ITスペシャリスト、プロジェクトマネジメント、アプリケーションスペシャリスト)に対応した形で提供を開始し、順次職種を拡大していく予定。

 なお、同サービスは、同社が展開するeラーニングソフトウェア「iStudy」シリーズとの連携を図ることで、習得すべきスキルを提示した後のパスを示している。同シリーズは同社の売り上げの多くを占めており、すでに24シリーズ、225製品が提供されている。その販売割合は、Oracle、Microsoft、Cisco、Java、XMLで全体の78%を占めている。

「iStudyといえばOracleの割合が高いと思われる方もいるようだ。それは事実ではあるが、そのほかのものも着実にその割合を高めている」(松岡氏)

 発表に同席したアルゴエデュケーションサービスの代表取締役社長の加藤正彦氏は「最近は、日本のIT技術に関して、このままでは世界との競争力がなくなってしまう、という声をよく耳にする。ITSSによって、共通したスキルレベルの把握が可能となり、またスキルアップのゴールを明確にすることでこの状態を改善したい」と述べた。

 また、質疑応答では、ITSSを基にした新たな資格試験の誕生の前触れではないかと問うものがあったが、松岡氏によると、「既存の情報処理試験をITSSに合わせた形で改良していくことを考えているとは聞いているが、新しい資格試験の話はまったく聞いていない」と述べるに留まった。

関連リンク
▼システム・テクノロジー・アイ
▼アルゴエデュケーションサービス
▼経済産業省の取り組み:高度IT人材の育成

[西尾泰三,ITmedia]