エンタープライズ:ニュース 2003/09/10 15:34:00 更新


IBMが「世界最大容量」のテープドライブ発表

IBMが発表した世界最大容量・最高速を誇るテープドライブは、1カートリッジあたり300Gバイトのバックアップが可能で、転送速度は40Mバイト/秒に達する。(IDG)

 IBMは9月9日、世界最大の容量と最強をうたうテープ・ストレージ・デバイス、「TotalStorage Enterprise Tape Drive 3592」を発表した。

 Storage Technologyが最近発表したT9840Cテープドライブと比較すると、IBMの3592は容量が最大650%、スピードで33%上回り、価格は16%安価である。さらにIBMによれば3592はStorageTek T9940Bと比較しても容量で50%、速度で33%上回り、価格は19%安いという。

 IBMのこの新しいストレージ製品は、1個のテープドライブで大容量・大量アクセスが必要とするアプリケーションに対処したい顧客をターゲットにしたものだ。

 「われわれが聞いた顧客の意見は二分されている。一方では、多くのことを少ないコストで実現したいと希望している。つまり、インフラストラクチャを縮小、統合してコストを削減するということだ」とIBMのワールドワイド・テープ・マーケティング担当上級プログラムマネジャーであるブルース・マスターズ氏は説明する。「その一方で、より多くのデータを長い期間にわたって保存したいとも希望している。これは、政府の各種規制に対応するためと、重要な資産を保護するためだ」と同氏。

 マスターズ氏は、3592テープドライブはこれらのニーズすべてに対応できるだろうと主張する。「大容量データを使うアプリケーションと、非常に高速なストリーミング・シーケンシャル・データレートを必要とするアプリケーションという、2種類のアプリケーションに対応を図ろうとしている顧客の役に立つだろう。非常に高速なファイルへのランダムアクセスをテープ上で必要としているのだ」と同氏。

 これまで、さまざまな異なる種類のテープテクノロジーを使っていたユーザーは、3592テープドライブだけで問題に対処できる。というのは、3592は非常に高速なストリーミング・シーケンシャル・データレートとファイルへのランダムアクセスを非常にすばやく実行できるからだ。

 IBMによれば、3592はエンタープライズ向けとしては業界最大の容量である1カートリッジ当たり300Gバイトを実現。データ保存スピードは40Mバイト/秒と、テープドライブとしては世界最速であるという。

 同社では3592テープドライブにWORM(write-once, read-many)メディア技術を導入し、カートリッジのデータの上書きができないようにする計画だとマスターズ氏。この機能は、新しい政府規制への対応と内部認証のために大量の電子記録を必要とする顧客からのニーズがあるという。

 Data Mobility Groupのアナリストであるダイアン・マカダム氏は、3592はすべての企業向けドライブの中で最高の性能と容量を備えていると述べた。

 「IBMは競争で優位に立った」とマカダム氏。「非常に高速なデータレートを実現し、カートリッジ容量も大幅に増えた。そして、IBMの以前のドライブである3590と比べると筐体もずいぶん小さくなっている。だから、データライブラリにテープドライブをもっとたくさん置けるし、ライブラリのスループットも相当向上できる」と同氏。

 IBM Enterprise Tape Drive 3592は、eServer zSeries、UNIX、Microsoft Windows、Linuxの各オペレーティングシステムと互換性を持つ。この新ドライブはAIX、Linux、Microsoft Windows版が9月12日、その他のプラットフォームは10月31日に発売される。価格は3万2000ドルから。

[Linda Rosencrance,IDG News Service]

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