エンタープライズ:ニュース 2003/09/11 18:44:00 更新


レイモンド、ペレンス両氏の新たな反撃で、SCO論争さらにエスカレート

SCOによる「オープンソースコミュニティーへの公開書簡」にエリック・レイモンド氏らが「誤りであり中傷だ」と反論。

 オープンソースソフトのリーダーであるエリック・レイモンド氏とブルース・ペレンス氏がSCO Groupへの反撃を繰り広げている。Linuxとオープンソース開発の手法に対してSCOが浴びせた新たな批判に反論したものだ。

 レイモンド氏は自身のWebサイトに9月9日掲載した公開書簡で、SCOのダール・マクブライドCEOの最近の主張に辛らつな口調で応酬した。とりわけ、SCOのWebサイトにサービス妨害(DoS)攻撃を仕掛けたハッカーの身元をレイモンド氏が隠しているかのようなマクブライド氏の指摘に強く反発している。

 Open Source Initiativeのプレジデントであるレイモンド氏は、自分はこの攻撃を仕掛けた人物の身元など知らないが、攻撃をやめるよう広く呼び掛ける必要があったのだと主張している。

 公開書簡には次のようにつづられている。「あなたはこの攻撃が継続的な脅威であり、Open Source Initiativeのプレジデントが加害者を隠し続けているとほのめかしていますが、いずれも誤りであり中傷です。実際、オープンソースコミュニティーのリーダーたちは、IP(知的財産)混濁問題が生じた際、明確かつ責任あるやり方で素早く対応するのと全く同様に、分散型DoS攻撃をただちに中止させるべく責任ある対応を取っています」

 SCOは、同社がコントロールしているUNIXのソースコードをIBMがLinuxに不正流用したと主張、IBMを相手に30億ドルの損害賠償を求める訴訟を起こし、ハイテク世界で物議を醸している。また、企業1500社のIT管理者に書簡を送ってLinuxを使えば知的財産権訴訟に巻き込まれる恐れがあると警告し、Linuxコミュニティーのさらなる怒りを買った。SCOはこの主張に基づいて収益を増やそうと、同社の許可の下でLinuxを使い続けたい企業向けのライセンスプランも打ち出している。

 オープンソースソフトの支持者らはSCOの主張に、辛らつな批判のほか、SCOのサイトへのDoS攻撃などの幾つかの行動で対抗している。

 マクブライド氏は、SCOのサイトに今週掲載されたオープンソースコミュニティーへの公開書簡の中で、同社のサイトに対するDoS攻撃を取り上げた。同氏はこの公開書簡でまた、オープンソース開発プロセスに対する大掛かりな批判も繰り広げた。特に、Linuxカーネルに取り込むコードが知的財産権侵害に当たらないことを確認するための精査プロセスを批判した。

 レドモンド氏と、オープンソース開発組織Software in the Public Interestのディレクターであるペレンス氏は、こうしたマクブライド氏の主張を一蹴している。

 「オープンソースコミュニティーの一員であるわれわれは、責任を果たしています。われわれのソースコードは、その所有権について異議を唱えたい人が確認できるように公開されています。SCOやほかのソース非公開ベンダーに、同じ事が言えるでしょうか?」と書簡にはある。

 レドモンド、ペレンス両氏はSCOに対し、権利侵害が疑われるすべてのコードをつまびらかにするか、さもなくば公然とLinuxを攻撃するのをやめるよう要求している。

 「ちゃんと権利侵害を訴えたいなら、われわれにコードを示してください」と書簡にはつづられている。「重複する部分を開示してください。貴社が侵害されていると信ずる部分をファイル単位、コード行単位で特定し、その根拠を示してください。そうすればわれわれは法にのっとって速やかに責任を果たし、侵害の疑いがあるコードを削除するか、あるいはそのコードが専有のクレームを受けることのないルートでLinuxに取り入れられたことを立証するでしょう」

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[David Becker,ITmedia]