エンタープライズ:レビュー 2003/08/25 18:37:00 更新


レビュー:CD-ROM起動で手軽にファイルサーバ環境を構築できる「だいこん」

 Linuxを用いたサーバ構築ブームは、ひとまず落ち着きを取り戻したように見える。しかし「各種のサーバをより手軽に用いたい」、「業務として確実に使えるものを」という潜在的なニーズは依然あるし、再評価もされている。キララ21の「だいこん」は、そうしたニーズに応える製品のひとつだ。

ファイルサーバに特化した組み込み系Linux

 Windows Server系OSよりも、ソースが公開されているLinux/UNIXを利用する方がイニシャルコストは削減できる。小規模ならば低スペックの古いマシンでもよいし、OSもソフトもGPLなどで無料だからだ。だが問題は「サーバ管理者」の確保にある。

 運用中に発生する様々なトラブルに対応できる管理者を育成するには、相応の人件費と時間がかかる。結果、WindowsもLinuxもトータルコストとしてはニアリーイコールになってしまうようだ。

 そこで発想の転換が必要になる。「なんでもできるLinux」から「特定機能のLinux」に限定するのだ。管理者は一定範囲の学習に集中できるし、Linux/UNIX全般にわたる膨大なマニュアルや設定資料から解放され、特定分野だけならプロのSIならずとも確実な運用が可能になる。市販のハードウェアでそれを成功させた代表例は民生用ブロードバンドルータだろう。

 キララ21の「だいこん」は、「ルータ」の「ファイルサーバ」版と言えよう。CD-ROMでブートでき、ファイルサーバとしての基本的な枠組み設定はできあがっている。一度起動させてしまえば、あとはブラウザから処理設定が簡単にできる。複雑なコマンドを扱う必用は一切ない。

 だいこんは、Linuxで言えば「Samba+Swat」に相当する。主な機能はこれに類似したものだ。しかし、「だいこん」には「バックアップ/ミラーリング機能」、「UPS対応機能」も追加されている。もちろん「ドメインコントローラ」もある。「だいこん」はSambaから使用頻度の低い機能を削り、必用な機能を加え、確実で簡単な運用を目指しているわけだ。

CD-ROMでブート、ドライブをフォーマットする

 だいこんはCD-ROMでブートする。ベースOSはRed Hat系のLinuxだ。基本環境はCD-ROM内に焼き込まれているので不必要なサービスは起動しない。起動後に出てくるのは以下のようなシンプルなプロンプトだけだ。

----------------------------------------------------
Vegetable [MEMORY] mode ... Ver x.x.x
----------------------------------------------------
[off - shutdown / config - system configuration ]
vegetable>

 だいこんには「メモリモード」と「ディスクモード」の2つの動作モードがある。通常はディスクモードで起動する。メモリモードは万一ドライブにトラブルが発生した時に、修復用として使用する。メモリモードでは、ディスクには通常の書き込みを一切行わずに、フォーマットやディスクチェックが行える。初回起動時には一度メモリモードで起動し、使用するハードディスクを一括フォーマットする(1ドライブにパーティションを区切るといったことはできない)。再起動後にはディスクモードとして起動する。

 コンソールから設定できる項目は少なく、ほとんどはブラウザで処理する。モニタレスのPCで使われることも考慮して、動作モードの違いを起動時ビープ音の回数で通知するといった配慮もされている。

わかりやすい管理画面

 ブラウザの管理画面に表示される内容はおおむねSwatに準じているが、よりシンプルで分かりやすい。「基本設定」で「ワークグループ」を自ネットワーク名に揃えれば「近くのコンピュータ」ですぐに見つかる(画面1、画面2)。

画面1

画面1■だいこんでのコンピュータ名とワークグループの設定


画面2

画面2■Windowsの「近くのコンピュータ」でもすぐに表示される


 例えばフォルダ作成画面では、Swatの場合パーミッション数値での指定になるが、だいこんならば「読出」、「読出/書込」というように、より具体的にわかる(画面3)。

画面3

画面3■共有フォルダの作成も簡単にできる


全自動バックアップとUPSにも対応

 Samba+Swatに備わらないのがこの2つの機能だ。だいこんのバックアップは2セットあり、単純に新規ファイルを追記していく方法と、複製(ミラーリング)とを選択できる。バックアップするフォルダの選択、また日付や曜日、時間指定をしてcronで実行するように全自動で処理することができる(画面4)。また、もしUPSを備えているならそれに対応する設定画面もある。

画面4

画面4■だいこんでのバックアップ設定画面


管理者のいらないファイルサーバ

 ファイルサーバはサーバの中では最もベーシックなものだが、運用には意外と細かい手間がかかる。バックアップはその最たるものだし、新規ユーザーユーザーがパーミッションにつまづきディレクトリにアクセスできないこともよくある。その都度、ネットワーク管理者を呼び出すのは面倒だ。

 上級者向けには、シェルでログインできる方が便利だったかもしれない。しかし、だいこんは、そうした小難しい部分を徹底的に排除している。社内業務をメインにするごく一般的な社員でも、すぐに管理方法が理解できるようになっているわけだ。専門な管理者を待機させたり、人手が足りずに管理者育成ができないような部門では、だいこんはうってつけのファイルサーバとなるだろう。

だいこんの主な仕様
推奨環境 IBM PC/AT互換機(DOS/Vパソコン) サーバー/デスクトップ/ノートタイプ
CPU:インテル製CPU、Pentium以降 (Pentinum,II,III,4,Celeron)
AMD、K5/K6/K6-2/K6-III/Duron (Athlonは動作不可)
メモリ:16MB以上
価格 29,800円
問い合わせ先 キララ21

関連リンク
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[渡辺裕一,ITmedia]