エンタープライズ:ニュース 2003/09/22 16:43:00 更新


アプリケーションプラットフォームが「ストレージ管理を簡素化する」とブロケード

米Brocadeでマーケティング/サポート担当副社長を務めるマイケル・クレイコー氏は、企業にとってストレージ管理の簡素化が至上命題になっていると指摘する。

 米Brocade Communications Systemsは、FC(ファイバーチャネル)をベースとしたSAN(Storage Area Network)の構築に不可欠なファブリックスイッチ「SilkWorm」ファミリーを開発、販売している。また昨年11月には米Rhapsody Networksの買収を表明。その成果を受けて、7月には仮想化専用のプラットフォームとして「SilkWorm ファブリックアプリケーションプラットフォーム」をリリースした。

 同社でマーケティング/サポート担当副社長を務めるマイケル・クレイコー氏は、投資対効果を考えると今後はますます、サーバなどに直結されるDAS(Direct Attached Storage)からネットワークストレージ、とりわけSANへの移行が進展するだろうと予測する。

 「市場でもネットワークストレージの価値が理解されるようになってきた。われわれとKPMGの共同調査によると、2006年には全ストレージのうち60%がネットワークストレージとなると予測される」(同氏)。当初遅れが指摘されていたアジア太平洋地域でも、速いペースでネットワークストレージへの移行が進むという。

 ただ一方で、大きな問題も浮上している。企業が取り扱うデータが増え、消費されるストレージ容量が増加した結果、その管理が困難になっていることだ。これには、ITおよびインターネットが広く活用されるようになったという単純な理由だけでなく、各種の政府規制により、企業が保管すべきデータの総量はますます増大する。

 しかも「ストレージ管理には多くの複雑さが付きまとっている。一般的なデータセンターの場合、2〜4社のベンダーが提供するハードウェアを採用し、そこで利用されるOSは3〜5種類。そのうえ複数のバージョンが存在することから、数十にも上る変数を管理しなければならず、大きな課題となっている」と同氏は指摘した。

クレイコー氏

今後はストレージシステムにおけるセキュリティの実装も課題の1つになるとし、そのため「さまざまな企業と連携を進めている」と述べたクレイコー氏

 この問題をクリアするために同社が、そしてストレージ業界全体が提唱し始めているコンセプトが、データのライフサイクル管理だ。データが生成された直後は高速な(しかしコストも高い)ディスクアレイなどを活用し、しばらくたったらニアラインストレージに移管。そして最終的には安価なテープなどに保管し、長期的な保存に備えるといった具合に、その時々のデータの性質に応じて適切なストレージを使い分けるというアプローチである。

 クレイコー氏は、このライフサイクル管理によって、データの価値を最大限に引き出しながら最も効率のよいストレージ管理が実現できるとし、「Brocadeでは各ステージのニーズに合ったソリューションを提供し、情報のライフサイクルに沿った管理を行えるよう支援していく」と述べた。

ストレージアプリケーションに特化

 同社がもう1つ、戦略的製品と位置付けているものがある。7月に発表されたSilkWorm ファブリックアプリケーションプラットフォームだ。「既存のSilkWormがトランスポートに最適化されているのに対し、SilkWorm ファブリックアプリケーションプラットフォームは文字通りアプリケーションに最適化されている」(クレイコー氏)。

 具体的には、仮想化/管理やミラーリング、ボリュームコピーといったさまざまなストレージアプリケーションをファブリックスイッチを通じてシームレスに導入できる。またファブリックアクセスAPIを通じて、既存のインフラを統合することも可能という。

 製品は、国内では2004年初めをめどに投入される見込み。同氏によると、長期的にはこのプラットフォームをベースにブレード型の製品を提供することも検討しているほか、暗号や認証といったセキュリティ技術との連携も視野に入れているという。

 このSilkWorm ファブリックアプリケーションプラットフォーム投入の背景にあるのも、ストレージ管理の複雑さだ。「顧客は簡素な環境を求めている。管理にまつわる変数を減らし、複雑なストレージ管理を簡単なものにしていく。これはもはや“やるかやらないか”という問題ではなく“いつやるか”が焦点になっており、そこにこそビジネス上の勝機がある」(クレイコー氏)。

 ディスクの値段が大幅に下がる一方で、ストレージ管理の複雑さは劇的に向上している。そのうえ昨今の経済状況から、管理に十分な人員を揃えられないといったケースもままあるという。これを踏まえると、業界全体が「ハードウェアの販売から、サービスやソリューションへと移行しつつある」(クレイコー氏)。技術的なトレーニングによる人材育成も含め「顧客が頭を悩ませているストレージの管理やコントロール、コストといった問題を解決すべく支援していく」という。

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[高橋睦美,ITmedia]